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夜の果てまで

角川文庫

出版社名 角川書店
出版年月 2004年2月
ISBNコード 978-4-04-374301-8
4-04-374301-7
税込価格 817円
頁数・縦 525P 15cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全2件

  • 著者いわく”恋愛小説三部作”の、ラストを飾る作品。3冊の中では一番の長編で、延々と綴られる二人の逃亡生活の様子が生々しい。人妻の造形は、彼女が大学生に自らの過去を語る数少ないシーンに象徴されているように、あくまで大学生の視点から構成されている。人生経験の浅い学生にとっては、年上の女性はあこがれの対象であり、さらに若者と人妻との駆け落ちという普遍的なテーマが加われば、これはもう男性読者が感情移入するのはたやすい。それは相手が同性からみて、さほど魅力的ではないと思える女性でもそうである。その意味で、この小説は男がもっている潜在的な願望の投影図ともいえ、 恋のため人生をスクラップする”破滅の美学”的な要素が男心をくすぐるのである。本書は、これまで純文学作家とみられてきた著者が、エンターテイメントの方向へシフトした最初の作品で、30万部を超えるベストセラーとなった。古くは”伊勢物語”の白玉の章にみられるように、愛の逃避行は何時の時代も人びとの心を燃やし、苦しめるのである。(のり)

    (2008年1月31日)

  • やめられない、とまらない、いっき読みしかない。

    ストーリーだけを語れば、現実世界では、反道徳的です。読後は、清涼感で躯中が満たされます。ラストの1ページに震えました。同じ作者の「ストリート・チルドレン」もお勧めします。(茂木 か)

    (2004年6月9日)

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商品内容

要旨

二年前の秋からつきあっていた女の子から突然の別れ話をされた春、俊介は偶然暖簾をくぐったラーメン屋で、ひそかに「Mさん」と呼んでいる女性と遭遇した。彼女は、俊介がバイトをしている北大近くのコンビニに、いつも土曜日の夜十一時過ぎにやってきては、必ずチョコレートの「M&M」をひとつだけ万引きしていくのだった…。彼女の名前は涌井裕里子。俊介より一回りも年上だった―。ただひたむきに互いの人生に向き合う二人を描いた、感動の恋愛小説。

著者紹介

盛田 隆二 (モリタ リュウジ)  
1954年、東京生まれ。85年「夜よりも長い夢」で早稲田文学新人賞入選。90年『ストリート・チルドレン』(講談社)が野間文芸新人賞候補に。92年には『サウダージ』(中央公論社)が三島由紀夫賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)