商品内容
要旨 |
ハイネの「人と思想」は、この詩人が実に魅力に富む存在であることを教える。たとえば、惨憺たるドイツの状況をリアルに描く唯一可能な形式と見定めた「詩」を、彼は生涯貫いた。抒情詩『歌の本』『新詩集』『ロマンツェーロ』と、叙事詩『アッタ・トロル』『ドイツ・冬物語』にそのことの経緯は明らかである。ヘーゲル、マルクス等と交わり、明日のドイツへの歴史的展望に抜きんでた高い理解を示しつつ、光輝ある孤立を保った最後のロマン主義詩人にして最初の現代詩人であった。芸術家・護民官・使徒ハイネは、生涯の後半を政治・社会革命の遊歩道パリで過ごす著述稼業の草分けでもあった。このヨーロッパ文化の危機の告知者は、キリスト教とユダヤ教の狭間で苦闘した。ハイネ受容の幅広い流れは、現代の思想や芸術、ことに音楽につながっている。 |
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目次 |
第1章 ドイツ時代のハイネ(幼年時代と学校時代―デュッセルドルフ(一七九七‐一八一五) |