• 本

名もなき毒

出版社名 幻冬舎
出版年月 2006年8月
ISBNコード 978-4-344-01214-1
4-344-01214-3
税込価格 1,980円
頁数・縦 489P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全3件

  • 2007年 第41回 吉川英治文学賞受賞作。もはや紹介するまでもないが、著者の宮部みゆきさんはミステリー小説の大家。このところ時代小説の著作が続いていたが、2005年に上梓された『誰か』以来、現代小説を再び描き始めた。今回の作品は、この『誰か』に登場する大企業の社報編集員杉村を主人公とした作品であるが、両作品の間にストーリー的な関連はあまり無い。さて、本作品は普通の暮らしに潜む「毒」をテーマにしたものであり、主人公杉村の満たされた家庭と加害者達の恵まれないそれという、対照的な姿が特徴的である。物語は杉村の視線で語られる。事件の当初、杉村は加害者の心理にまで理解が届かないが、自ら被害を受けることで人間の「毒」の存在に気づき始め、次第に本来の事件の真相へと近づいてゆく。このあたりの話の構成力はさすがに素晴らしい。幸せに満たされた人間とそれを求める者の対照の妙、強烈な存在感をもつ社報編集部の問題アルバイト原田を狂言廻しに仕立て、人間の「毒」を浮き彫りにする手法の鮮やかさ。まさに手だれの一品。じっくり鑑賞していただきたい1冊である。(のり)

    (2007年11月22日)

  • ラジオテレビ雑誌で、児玉清が絶賛している。

    普通に生きている人=立派に生きている人が、突然、普通の人の名もなき毒にやられる可能性があるという危うさがテーマのミステリー。「誰か」にも登場した杉村が主人公だが、前作を読んでなくても楽しめる。意外な結末なので、読者の犯人探しの面白さもある。

    (2006年9月23日)

  • 未生怨の人間は恐ろしい

    こんな奴そうそういないと思われるでしょうが、現実世界には魑魅魍魎の者が沢山います。こんな奴もいるんです。ホントに・・・ ’原田いずみ’のような奴のことを『未生怨』というんです。

    (2006年9月22日)

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商品内容

文学賞情報

2007年 第41回 吉川英治文学賞受賞

要旨

どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。

おすすめコメント

『火車』『理由』『模倣犯』そして――。宮部ミステリーの新たなる代表作、ここに誕生。 連続無差別殺人事件。あらゆる場所に「毒」は潜む。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、 トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。 そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を殺された女子高生だった。

著者紹介

宮部 みゆき (ミヤベ ミユキ)  
1960年東京都生まれ。87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理新人賞を受賞しデビュー。92年「龍は眠る」で日本推理作家協会賞、同年「本所深川ふしぎ草紙」で吉川英治文学新人賞、93年「火車」で山本周五郎賞、98年「理由」で直木賞、2002年「模倣犯」で司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)