台湾漫遊鉄道のふたり Chizuko & Chizuru’s Taiwan Travelogue
出版社名 | 中央公論新社 |
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出版年月 | 2023年4月 |
ISBNコード |
978-4-12-005652-9
(4-12-005652-X) |
税込価格 | 2,530円 |
頁数・縦 | 371P 20cm |
書店レビュー
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美食を巡る鉄道旅で知る、日本植民地下の台湾と帝国日本
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- 本町文化堂 (和歌山県和歌山市)
物語の舞台は昭和13年、日本植民地下の台湾。講演旅行で台湾へ渡った日本人の若い流行作家の青山千鶴子は、博識で美しい台湾人通訳、王千鶴と出会います。妖怪並みの胃袋を自認し、食への並々ならぬ情熱をもつ千鶴子と、実は天才的な料理の腕前をもつ千鶴。そんな二人の女性が、台湾を鉄道で旅する物語は、庶民の食卓から屋台飯、伝説の女性料理人がつくる、究極の宴席料理まで、豊かで奥深い台湾料理の世界へ読者を誘います。
もっとも、この小説は美食を味わうだけではありません。千鶴子は台湾の地で、日本の植民地政策の欺瞞、傲慢な日本人の意識、台湾人への様々な差別や偏見を目にすることに。そうした歴史を知る時、読者も一抹の苦さを覚えることになるはずです。(2025年4月16日)
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商品内容
文学賞情報 |
2024年
第10回
日本翻訳大賞受賞 |
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要旨 |
昭和十三年、五月の台湾。作家・青山千鶴子は講演旅行に招かれ、台湾人通訳・王千鶴と出会う。現地の食文化や歴史に通じるのみならず、料理の腕まで天才的な千鶴と台湾縦貫鉄道に乗りこみ、つぎつぎ台湾の味に魅了されていく。ただ、いつまでも心の奥を見せない千鶴に、千鶴子の焦燥感は募り…国家の争い、女性への抑圧、植民地をめぐる立場の差。あらゆる壁に阻まれ、近づいては離れるふたりの旅の終点は―。 |
出版社・メーカーコメント
「心配ご無用。滷肉飯( ルーローファン)を食べても、おこわの上にのってるワタリガニ、二・三杯は食べられるわ!」日台女ふたり鉄道旅。出会って、恋して、台湾を食べつくす。気鋭の台湾人作家によるシスター“フード”小説。1938年、講演旅行で日本統治下の台湾へ渡る作家・青山千鶴子と、現地で出会う通訳担当の台湾人・王千鶴。2人の“千鶴”は台湾縦貫鉄道に乗り、各地へ遠征する。冬瓜茶(冬瓜ジュース)、肉そぼろサンドカステラ、菜尾湯(五目スープ)、愛玉湯、ひき肉の煮つけなどなど……濃厚な台湾グルメを平らげ、ときを分かち合う日々に、友情と恋愛感情が交差するも、当時の日台植民地関係、貧富の差、女性差別が否応なく影を落とす――日本でも愛される台湾の食文化と、歴史に翻弄された複雑なアイデンティティが、日台の女性同士による会話劇と旅行記で味わえる、何重にも美味しい一冊。