老いの荷風
出版社名 | 白水社 |
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出版年月 | 2017年6月 |
ISBNコード |
978-4-560-09556-0
(4-560-09556-6) |
税込価格 | 2,640円 |
頁数・縦 | 238P 20cm |
商品内容
要旨 |
第一人者の視点と筆さばき。『〓(ぼく)東綺譚』以降の作品と生活を中心に、老いを生きる孤独な姿を描く。 |
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目次 |
1(『問はずがたり』―隠棲への思い |
おすすめコメント
『ぼく東綺譚』以降の荷風を探る 『荷風と東京 「断腸亭日乗」私註』(読売文学賞)をはじめ、荷風評論に他の追随を許さぬ第一人者が、これまで注目されることの少なかった『ぼく東綺譚』以降の作品や生活を中心に、老いを生きる荷風の孤愁ともいうべき姿を、絶妙な視点と筆さばきで描く力作。戦争中、60代後半に差しかかっていた荷風は、『踊子』『来訪者』『問はずがたり』など、発表のあてもなく、時勢の定まらぬなか、新しい小説を書きたいという強い意欲をもち、日々の研鑚を重ねていた。戦後発表されたこれらの作品には、老いゆく荷風の憂いが色濃くあらわれていると著者は指摘する。本書ではほかにも、市川移住で生まれた戦後の諸短篇「羊羹」「或夜」「にぎり飯」などを取り上げながら、市川周辺をはじめ、亀戸や小岩といった隅田川の向こう側光景を、荷風が抱き続けた都市の周縁への関心と併せて論じている。〈人の世を、早いころから「老い」の目で見る。現実社会と深く関わらない「老い」の目で、時代を見る。そこに荷風文学の真骨頂があるように思えてならない〉という著者の指摘が、深い説得力をもって読者に迫ってくる。