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又蔵の火 新装版

文春文庫 ふ1−40

出版社名 文藝春秋
出版年月 2006年4月
ISBNコード 978-4-16-719240-2
4-16-719240-3
税込価格 682円
頁数・縦 346P 16cm
シリーズ名 又蔵の火

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 親戚縁者からの厄介者扱いされ、本家の娘婿の手にかかって命落とす。弟の又蔵はひ弱で、あだ討ちするような柄ではない。しかし、いくら兄が厄介ものでも、兄の言い分があるはずと、あだ討ちを決意す。又蔵の火が灯た瞬間である。江戸の剣術道場で免許皆伝をうけ、一路帰郷して、あだ討ちの機会を待つ。あだ討ち相手の本家の婿は剣の使い手、その決闘シーンは血なまぐさい壮絶な描写であるが、読後感の後味の悪さはのこらない。不思議な感覚である。ほかの短編も皆人間味のあるものばかりであり、ぜひお奨めしたい一冊です。

    (2010年1月8日)

商品内容

要旨

一族の面汚しとして死んだ放蕩者の兄のため、理不尽ともいえる仇討ちを甥に挑む又蔵。鮮烈かつ哀切極まる決闘場面の感動が語り継がれる表題作の他、島帰りの男と彼を慕う娘との束の間の幸せを描いた「割れた月」など「主人公たちは、いずれも暗い宿命のようなものに背中を押されて生き、あるいは死ぬ」と作者が語った初期の名品集。

著者紹介

藤沢 周平 (フジサワ シュウヘイ)  
昭和2(1927)年、鶴岡市に生れる。山形師範学校卒。48年「暗殺の年輪」で第69回直木賞を受賞。主要な作品として「白き瓶 小説長塚節」(吉川英治文学賞)など多数。平成元年、菊池寛賞受賞、平成6年に朝日賞、同年東京都文化賞受賞、平成7年、紫綬褒章受章。平成9年1月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)