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永田鉄山の総力戦

文春新書 1513

出版社名 文藝春秋
出版年月 2025年10月
ISBNコード 978-4-16-661513-1
4-16-661513-0
税込価格 1,100円
頁数・縦 239P 18cm

商品内容

要旨

昭和陸軍をリードした戦略家、永田鉄山。第一次世界大戦をつぶさに検討、次の世界大戦が不可避であること、国家総動員体制の必要があることを確信する。満州事変、国家観を異にする天皇機関説との激突。皇道派との人事抗争のなかで命を落とした永田が対峙した「昭和の危機」。

目次

第一章 永田鉄山の国家総動員論(永田鉄山の足跡
第一次世界大戦の衝撃
長期持久戦の戦時動員兵力と平時の常備兵力
新しい戦闘法とその精神
機械化兵器の大量使用と工業生産力
国家総力戦と国家総動員
次期大戦不可避論
資源自給論と中国
対中国政策とその方法
軍の政治介入と陸軍統制)
第二章 満州事変と一夕会(満州事変の勃発
犬養毅政友会内閣の成立と陸軍における権力転換
五・一五事件と政党政治の終焉)
第三章 天皇機関説事件(美濃部達吉の『国防の本義』批判
天皇機関説の問題化と陸軍派閥抗争
岡田内閣の国体明徴声明と『国体の本義』の発行)

出版社・メーカーコメント

昭和史に新たな光をあてる!昭和10年、人事抗争の末、陸軍省内で殺害された陸軍の最高頭脳、永田鉄山。彼が挑んだのは「国を守るための戦争か、戦争のための国家か?」という総力戦のパラドックスだった。その永田の国家総動員体制論と、国家観として、正面からぶつかったのが美濃部達吉「天皇機関説」であった。トランプの関税外交ひとつとっても、国家と国家が、経済、政治、外交など総力でぶつかり合う「総力戦」は、実は現代の世界にも通じる難問にほかならない。総力戦の時代、日本にどのような選択があり得るのか?〈ひとたび総力戦が開始されると、国家の存続、国民の安全のためには、その国の軍事、経済、政治、社会生活、文化などのすべてを動員して戦わなければならない。これが「総力戦」の出発点のはずである。ところが、総力戦を前提とすると、「国民と国家を守るための戦争」であるはずのものが、「戦争のための国家」へと反転してしまう。それは、「国家総力戦」自体がもつ不条理の反映でもあった。国家の全てを賭けて戦わなければ生き残れない、という過酷な現実にいかに対応するか、という難問が、永田のテーマだった。〉(「はじめに」より)

著者紹介

川田 稔 (カワダ ミノル)  
1947年高知県生まれ。1978年名古屋大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。法学博士。専門は政治外交史、政治思想史。名古屋大学大学院教授などを経て、名古屋大学名誉教授、日本福祉大学名誉教授。著書に『昭和陸軍の軌跡』(中公新書、山本七平賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)