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村上春樹と夏目漱石 二人の国民作家が描いた〈日本〉

祥伝社新書 243

出版社名 祥伝社
出版年月 2011年7月
ISBNコード 978-4-396-11243-1
4-396-11243-2
税込価格 902円
頁数・縦 296P 18cm

商品内容

要旨

夏目漱石と村上春樹は、ともに「国民作家」というべき、日本を代表する作家である。従来、二人の作品は「個人」の側面から語られることが多かった。しかし、彼らが国民作家である最も大きな理由は、ともに自身が生きている時代社会のあり方とその行方を、作品に盛り込みつづけたことにある。そもそも、漱石と春樹には、時代に対する意識とその表現方法に共通項が多く見られる。本書では、その観点から作品を読むことで、彼らが日本をどのように見ていたのか、明治から現代にかけて、この国で形を変えて繰り返されるものと、新たに生まれてきたものを見ていく。

目次

第1部 二人の出発点―それぞれの時代への眼差し(「真」を捉えようとする表現(漱石)―『吾輩は猫である』『坊つちやん』
混在する時間 六〇年代と七〇年代(春樹)―『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』)
第2部 大きな物語の後で―支配される人びとの姿を描く(「個人主義」と韓国併合への反感(漱石)―『それから』『門』
情報に支配される現代(春樹)―『羊をめぐる冒険』)
第3部 「空っぽ」の世界―二人にとっての“ポストモダン”とは(「淋しさ」に至る“勝利”(漱石)―『こゝろ』
「空っぽ」の人物たち(春樹)―『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『海辺のカフカ』)
第4部 未来と過去を行き来する物語―二人の込めた“日本”への願いとは(“未来”からの眼差し(漱石)―『こゝろ』『道草』『明暗』
「心」のつながりと「物語」への期待(春樹)―『アフターダーク』『1Q84』)

出版社・メーカーコメント

春樹にとっての「60年代」と「中国」 漱石にとっての「日露戦争」と「韓国」 2人に共通する時代意識と表現方法とは!?  2人の作品を読み解くことで浮かび上がる、近代日本の姿とは ●「坊っちゃん」はなぜ赤シャツと戦うのか? ●なぜ「鼠」は春樹の小説から姿を消すのか? ●『こゝろ』の「K」とは何者か? ●「世界の終わり」で「僕」が「街」を出ていくのはなぜか? ●『明暗』の結末で漱石が描こうとしていたものとは? ●『1Q84』に見られる春樹の“変質”とは?  ■漱石・春樹は、この国をどう見ていたのか 夏目漱石と村上春樹は、ともに「国民作家」というべき、日本を代表する作家である。 従来、2人の作品は「個人」の側面から語られることが多かった。しかし、彼らが国民作家である最も大きな理由は、ともに自身が生きている時代社会のあり方とその行方を、作品に盛り込みつづけたことにある。 そもそも、漱石と春樹には、時代に対する意識とその表現方法に共通項が多く見られる。本書では、その観点から作品を読むことで、彼らが日本をどのように見ていたのか、明治から現代にかけて、この国で形を変えて繰り返されるものと、新たに生まれてきたものを見ていく。

著者紹介

柴田 勝二 (シバタ ショウジ)  
東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。博士(文学)。1956年生まれ。1986年、大阪大学文学研究科芸術学専攻単位取得退学。山口大学助教授、相愛大学助教授などを経て現職。専門分野は日本近代文学。明治・大正期から現代にいたる近代文学を幅広く研究・評論している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)