• 本

東京の地霊(ゲニウス・ロキ)

ちくま学芸文庫 ス10−1

出版社名 筑摩書房
出版年月 2009年2月
ISBNコード 978-4-480-09201-4
4-480-09201-3
税込価格 1,320円
頁数・縦 300P 15cm

商品内容

要旨

三井財閥と久能木一族が争った一等地・日本橋室町、薄幸の皇女の影をひきずる林野庁宿舎跡地、天海僧正が京都を模した上野の山…。どのような土地にも、時を経ても消えることのない歴史・記憶の堆積、「地霊(=ゲニウス・ロキ)」がある。それは、土地に結びついた連想性と可能性を生み、その可能性の軌跡が都市をつくり出していく。江戸から平成まで、近代の東京の歴史は、そうした土地の歴史の集積として見ることができるだろう。数奇な変転を重ねた都内13カ所の土地を、新しい視点から考察し、広く話題を呼んだサントリー学芸賞受賞作。

目次

港区六本木 民活第一号の土地にまつわる薄幸―時代に翻弄された皇女の影を引きずる林野庁宿舎跡地
千代田区紀尾井町 「暗殺の土地」が辿った百年の道のり―怨霊鎮魂のため袋地となった司法研修所跡地の変遷
文京区‐護国寺 明治の覇者達が求めた新しい地霊―その「茶道化」の立役者・高橋箒庵
台東区‐上野公園 江戸の鬼門に「京都」があった―いまも生きつづける家康の政治顧問・天海の構想
品川区‐御殿山 江戸の「桜名所」の大いなる変身―庶民の行楽地から時代の覇者達の邸宅地へ
港区芝 現代の「五秀六艶楼」のあるじ―「さつまっぱら」と郷誠之助と日本電気の関係
新宿区‐新宿御苑 幻と化した「新宿ヴェルサイユ宮殿」―造園家・福羽逸人の構想と三代の聖域
文京区‐椿山荘 目白の将軍の軍略にも似た地政学―権力者・山県有朋の土地と庭園に対する眼力
中央区日本橋室町 三井と張り合う都内最強の土地―九三坪二合九勺に賭けた久能木一族の意地
目黒区目黒 「目黒の殿様」がみせた士魂商才―明治の秀才・久米邦武の土地に対する先見の明
文京区本郷 東大キャンパス内の様々なる意匠―安田講堂はなぜ東大の“象徴”なのか
世田谷区深沢 東京西郊の新開地・うたがたの地霊―近衛文麿の末期の眼に映った巨大和風庭園の終焉
渋谷区広尾 昭和・平成二代にわたる皇后の「館」―前皇后が住まい、現皇后が学んだ土地の縁

著者紹介

鈴木 博之 (スズキ ヒロユキ)  
1945年東京生まれ。東京大学工学部建築学科卒業、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了。1974‐75年、ロンドン大学コートゥールド美術史研究所留学。1993年、ハーバード大学客員教授。現在、東京大学大学院工学系研究科教授(建築学専攻)。『東京の地霊(ゲニウス・ロキ)』でサントリー学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)