• 本

サクリファイス

出版社名 新潮社
出版年月 2007年8月
ISBNコード 978-4-10-305251-7
4-10-305251-1
税込価格 1,620円
頁数・縦 245P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全4件

  • タイトルの真の意味を知るとき深い感動があります。

    ロードレースというマイナーな(?)世界。まったく知らない私にもこのスポーツの熱を面白さを十分に味わせてくれました。トップでゴールを切るのではなく、誰かのため、チームのために走ることの楽しさ、爽快さ。自己犠牲とは犠牲なのかもしれないけれど、そのことによって得られる満足を求める生き方もありだと考えつつ、ストーリーのスピードで一気に読み終わりました。青春小説として読んでも、ミステリーとして読んでも楽しめますし、ラスト、主人公の目線で見ていた世界が一転します。衝撃的な事実に感動すること間違いなしです。(ミシマ社『THE BOOKS』より転載)

    (2013年3月15日)

  • 女の子は好きだと思うな。

    「一瞬の風になれ」に東野風味をぶち込んで、あっさり風に煮炊きしたらできた感じ。ミステリとして読むとあまりのガチガチプロットと普通さ加減にちょっとげんなり。昔ながらの老舗ラーメンというか、別に新しいほうがいいというわけではないんですが。あぁ、そうだ「私の男」とテイストが似てます。違うのは、自転車の世界を紹介するか、私の男を見て頂戴!かの違いかと。きわめてまっとうな、いわゆる読書家、日本人向けの小説に仕上がってると思います。

    (2008年4月28日)

  • ロードレースの深さを知った

    TVで偶然目にしたロードレース。ロードレースというスポーツ独特のスポーツマンシップに魅せられた白石は、陸上からロードレースへと転向する。 チームのエースは勝つ為にアシストを犠牲にして走り、アシストの選手はエースを勝たせる為に犠牲となり走る。 白石は自分にはエースとして走るよりもアシストとして走ることの方が向いていると感じていた。 チームのエースとアシスト、過去にチームに所属していた選手、他チームの選手…絡み合う人間関係とロードレースに関する思い。 事件なのか事故なのか。徐々に明かされていく謎の中に見え隠れする人間の心理。 チームとは何か?エースとは?アシストとは?最大級のスポーツマンシップがここにある。 ロードレースという競技の深さを知った作品。 もちろん、ロードレースという競技を知らない人でも楽しめる。むしろ、ロードレースを知らない人に読んでもらいたい。 (真)

    (2008年2月20日)

  • 鳥肌!

    自転車ロードレースというの知っていた。ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリアも名前は知っていたし、アームストロングという人が強いということも知っていた。けど自転車レースというものがどのようなものなのか、まったく知らなかった。この本を読んで無性にロードレースというものが見たくなった。それだけロードレースの世界を濃密に魅力的に描いている小説なのです。しかもタイトルの「サクリファイス=犠牲」というテーマが小説全体を細部まで包み込み、ラストですべてがフラシュバックのように頭を駆け巡る。鳥肌立ちました。日本では自転車ロードレースはまだそれほど認知されていませんが、ヨーロッパではサッカーの次に人気のスポーツだとか。やはりそれはレースの勝ち負けよりもいかに名誉ある・誇りあるレースをしたか?という騎士道精神のようなものが根底に流れているからなのでしょうか。新しい世界に触れる心地よい感触とミステリー仕立ての心地よいラストには、読後の余韻にどっぷり浸れます。オススメの1冊!(スズキ)

    (2007年12月30日)

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商品内容

文学賞情報

2008年 第10回 大藪春彦賞受賞

要旨

ただ、あの人を勝たせるために走る。それが、僕のすべてだ―。二転三転する真相、リフレインし重きを増す主題、押し寄せる感動!自転車ロードレースの世界を舞台に描く、青春ミステリの逸品。

出版社
商品紹介

競技中に起きた悲劇は、単なる事故のはずだった――。二転三転する「真相」と共に駆け抜ける物語の結末とは。自転車ロードレースを舞台に描く青春ミステリ。

おすすめコメント

ただ、あの人を勝たせるために走る。それが、僕のすべてだ。 勝つことを義務づけられた〈エース〉と、それをサポートする〈アシスト〉が、冷酷に分担された世界、自転車ロードレース。初めて抜擢された海外遠征で、僕は思いも寄らない悲劇に遭遇する。それは、単なる事故のはずだった――。二転三転する〈真相〉、リフレインの度に重きを増すテーマ、押し寄せる感動! 青春ミステリの逸品。

出版社・メーカーコメント

本書 担当編集者のことば

傑作だの名作だのという、内実のない言葉が氾濫し、それが陳腐に聞こえるのは重々承知しています。できればそんな言葉は遣いたくありません。 でも、読後まず思ったのは、「これは傑作だわ」ということと、「あー、早く誰かと感想を語り合いてー」ということでした。 大感動で号泣とか、衝撃の大トリックでドーンとか、そういった類の話ではありません。読み終わって、しみじみと「いいもん読んだな」と余韻を噛み締め、誰かに会ったときに「ねえねえ、アレ読んだ?」と思わず話したくなるような、そんなタイプの作品です。 優れた作品は、否応なしにその題材へまで読者の興味を引っ張っていくものですが、『サクリファイス』はまさにそうで、それまでまったく知識のなかった僕を、にわかにロードレースファンにしてしまいました。今では、恥ずかしながら、自らロードレースの魅力を人に語るようになっています。ロードレースそのものが魅力的な競技だという証左でもありますが、『サクリファイス』の魅力はもちろん、小説としての面白さにあります。 タイトルは、「犠牲」という意味ですが、物語のテーマと題材が、ここまで不可分に一致した例を僕は知りません。どちらかが欠けては成り立たない絶妙の関係性が、この作品の完成度を一際高めています。そして、クライマックスに向けて、二転三転する真相と共に、リフレインしていくテーマにもご注目下さい。特筆すべきは、ただ繰り返されるだけでなく、リフレインの度にテーマが重きを増していくことです。 タイトルの意味が示すように、爽やかなだけの物語ではありません。むしろ、最後に読み手に渡されるバトンは、とても重いものです。 それなのに、読み終わった印象は前向きで、清々しささえ感じます。 決して厚くないこの本の中に、これだけの想いと物語を込めることができるのかと、小説の持つ力を改めて知って、感動しました。 と、延々クドクドと書いてしまいましたが、言いたいことはシンプルです。 まずは読んでみて下さい。絶対損はさせません!

著者紹介

近藤 史恵 (コンドウ フミエ)  
1969年大阪生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒。1993年、『凍える島』で、第四回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。複雑な女性心理を描く細やかな筆致に定評があり、歌舞伎を題材にしたシリーズで知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)