• 本

ナイルパーチの女子会

出版社名 文藝春秋
出版年月 2015年3月
ISBNコード 978-4-16-390229-6
4-16-390229-5
税込価格 1,620円
頁数・縦 352P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 怖い。健康に悪い。それほど、「凄い」小説だ。

    一流商社に勤務する栄利子、「おひょう」というペンネームで人気ブログを書く翔子、この二人が主たる登場人物。栄利子は「おひょう」のブログの愛読者である。一方的な友情を注ぐ栄利子の行動はいびつだ。ゆえに孤独な栄利子が翔子にまとわりつく−ナイルパーチというのはタンザニアの肉食の淡水魚で異なった環境に入れられるとそこの生態系を破壊しかねない凶暴な外来生物-、だから栄利子がナイルパーチで翔子の生活を食い尽くす、そういう物語だと思った。ところが、物語はそんなに単純ではなく、進むにつれ混みいってくる。翔子の幼馴染の圭子、夫、父、弟、栄利子の両親、主人公二人の性格形成の片棒を担いだと思われる人物や栄利子の同僚の男、その彼女、父のかつての部下、翔子のブロガー仲間であるNORIといずれ劣らず物語に欠かすことのできない人間たちが登場し複雑に関係しあい最初の読者の甘い読み方など消し飛んでしまう。一言ではとても語れない小説だと思うが、それでもあえて言えば『人間関係』のむずかしさを描いた小説。平易に語るとそうなるだろうと思う。

    物語はとても一冊の本と思えないほど重厚。それを作り出しているのが人間たちの心理描写

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    (2016年2月8日)

商品内容

文学賞情報

2015年 第28回 山本周五郎賞受賞

要旨

ブログがきっかけで偶然出会った大手商社につとめる栄利子と専業主婦の翔子。互いによい友達になれそうと思ったふたりだったが、あることが原因でその関係は思いもよらぬ方向に―。女同士の関係の極北を描く、傑作長編小説。

出版社
商品紹介

ブログがきっかけで出会ったキャリアウーマンの栄利子と専業主婦の翔子。その「友情」は次第に思いもよらぬものに変わってゆき……。

おすすめコメント

丸の内の大手商社に勤めるやり手のキャリアウーマン・志村栄利子(30歳)。実家から早朝出勤をし、日々ハードな仕事に勤しむ彼女の密やかな楽しみは、同い年の人気主婦ブログ『おひょうのダメ奥さん日記』を読むこと。決して焦らない「おひょう」独特の価値観と切り口で記される文章に、栄利子は癒されるのだ。その「おひょう」こと丸尾翔子は、スーパーの店長の夫と二人で気ままに暮らしているが、実は家族を捨て出て行った母親と、実家で傲慢なほど「自分からは何もしない」でいる父親について深い屈託を抱えていた。偶然にも近所に住んでいた栄利子と翔子はある日カフェで出会う。同性の友達がいないという共通のコンプレックスもあって、二人は急速に親しくなってゆく。ブロガーと愛読者……そこから理想の友人関係が始まるように互いに思えたが、翔子が数日間ブログの更新をしなかったことが原因で、二人の関係は思わぬ方向へ進んでゆく。次第にエスカレートする執着と、一方的過ぎる考えと行動の強要――とても友情とは呼べない関係に二人が陥ってしまったのは、二人が出会ってはいけない同士だったからなのか……。「ナイルパーチ」とはスズキ目アカメ科アカメ属の淡水魚。淡白な味の食用魚だが、他の種を食べ尽くし、生態系を破壊するほどの凶暴性を持っている。「ナイルパーチ」だったのは栄利子、それとも翔子? 「女友達がほしい」という、ただ一つの欲望が共通したことで起こる修羅場と悲劇、その破綻から再生の予兆までを描き切った長編傑作小説。

著者紹介

柚木 麻子 (ユズキ アサコ)  
1981年、東京都生まれ。立教大学フランス文学科卒業。2008年、女子高でのいじめを描いた「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞。10年、受賞作を含めた単行本『終点のあの子』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)