• 本

永遠の1/2

小学館文庫 さ4−8

出版社名 小学館
出版年月 2016年10月
ISBNコード 978-4-09-406329-5
4-09-406329-3
税込価格 864円
頁数・縦 541P 15cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 青年の日常を瓜二つの顔をした男が掻き乱していく

    《失業したとたんにツキがまわってきた。》女性関係も競輪も、失業とともにうまく行き始めていた。そんな風に考えていた《ぼく》はその頃から突然、頻繁に人違いに遭うようになり、自分と同じ顔の男が周囲にいることを知る。そしてその人違いが原因で、彼の日常は慌ただしいものになっていく。
    ギャンブルと野球が大好きな青年《田村宏》が主人公である。この男、お世辞にも誠実とは言えないし、身勝手な行動や言動も多く、正直に言うと(個人的には)腹立たしくなることもあるのだが、何故か嫌いになれないところがある。強がりや虚勢のようなものが感じられて、憎めないのである。そんな青年の日常を瓜二つの顔をした男が掻き乱していくストーリーは軽快だが、不穏さも持ち合わせている。謎が紐解かれていくことにより、瓜二つの男の人生が立ち上がる展開はとても愉しく、そしてほんのりと切ない。余韻が長く残る作品です(そしてさらにあとがきまで面白い)。
    ちなみに本書のミステリ部分が愉しかったという人には、著者には『身の上話』というミステリの傑作もあるので、そちらも是非、おすすめです。

    (2016年10月21日)

商品内容

要旨

失業したとたんにツキがまわってきた。婚約相手との関係を年末のたった二時間で清算できたし、趣味の競輪は負け知らずで懐の心配もない。おまけに、色白で脚の長い女をモノにしたのだから、ついてるとしか言いようがない。二十七歳の年が明け、田村宏の生活はツキを頼りに何もかもうまくいくかに思われた。ところがその頃から街でたびたび人違いに遭い、厄介な男にからまれ、ついには不可解な事件に巻き込まれてしまう。自分と瓜二つの男がこの街にいる―。現代作家の中でも群を抜く小説の名手、佐藤正午の不朽のデビュー作。新装文庫限定「あとがき」収録。

出版社・メーカーコメント

小説界のカリスマ、不朽不滅のデビュー作! どんな小説家にも、一つだけ、アマチュアとして書いた小説がある。ないと始まらない。その小説が人目に触れ、本になるとデビュー作と呼ばれ、書いた人は小説家と呼ばれるようになる。――「あとがき」より 現代作家の中でも群を抜く小説の名手――佐藤正午の不朽のデビュー作を、新たな装いで文庫化! 【物語】 失業したとたんにツキがまわってきた。婚約相手との関係も年末のたった二時間で清算できたし、年が明けると競輪は負け知らず、失業保険も手つかずのままで、懐の心配はこれっぽっちもなかった。おまけに、色白で脚の長い女をモノにしたのだから、ツイてるとしか言いようがない。いってみれば笑いが止まらぬというところだった。「西海市」にすむ主人公・田村宏は、27歳の年の暮れに退職届を出して以降、ツキを頼りに何もかもうまく行くかに思われた。ところがその頃から、たびたび街で別人と間違われ、厄介な相手にからまれ、ついには不可解な事件に巻き込まれてしまう。どうやら自分と瓜二つの男がこの街にはいるらしい‥‥。【山田風太郎賞受賞の最近作『鳩の撃退法』への選評から】 ●文句なしの最高得点を入れた。真似したくても真似できない。(夢枕獏さん) ●試みが図抜けていたことは、疑いようがない。(京極夏彦さん) ●自分もこの作品を一番に推した。(奥泉光さん) ●こんな優れた作家の存在を今まで知らなかった。受賞は当然であろう。(筒井康隆さん)

著者紹介

佐藤 正午 (サトウ ショウゴ)  
1955年長崎県生まれ。1983年本作で第七回すばる文学賞を受賞。2015年『鳩の撃退法』で第六回山田風太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)