• 本

壁の男

出版社名 文藝春秋
出版年月 2016年10月
ISBNコード 978-4-16-390552-5
4-16-390552-9
税込価格 1,620円
頁数・縦 348P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 田舎町の外壁に稚拙な絵を描き続ける男の半生に寄り添う一冊

    栃木県北東部に位置する田舎町の外壁には稚拙な絵が描かれ、その絵は町全体を覆い尽くそうとしていた。子供の落書きのようなその絵に興味を持ったノンフィクションライターの《私》は、その絵を描いた伊苅という男を訪ねる。《私》に対する伊苅の反応は決して良いものではなかったが、かつては学生塾の先生をしていて、現在は便利屋を生業にしている伊苅に強く興味を持った《私》は、彼について調べていく。
    本書には、いくつもの孤独や疎外感を感じさせるエピソードが描かれています。しかし同時に他者との繋がりが強く描き出されているのも印象的です。思わず温かいものが頬を伝いそうになる場面もいくつかあったのですが、泣ける、という表現だけで終わらせてはいけない切実さも含んでいます。
    物語の後半、一人の男の半生に寄り添う読者に明かされる事実は意外なものです。その事実を知った後、物語や登場人物に対する読者の印象は大きく変わると思います。しかしその事実は不自然になることなく物語に溶けこみ、深い余韻を残します。

    (2016年11月23日)

商品内容

要旨

ある北関東の小さな集落で、家々の壁に描かれた、子供の落書きのような奇妙な絵。その、決して上手ではないが、鮮やかで力強い絵を描き続けている寡黙な男、伊苅(いかり)に、ノンフィクションライターの「私」は取材を試みるが…。寂れかけた地方の集落を舞台に、孤独な男の半生と隠された真実が、抑制された硬質な語り口で、伏せたカードをめくるように明らかにされていく。ラストには、言いようのない衝撃と感動が待ち受ける傑作長篇。

おすすめコメント

ある北関東の小さな集落で、家々の壁に描かれた、子供の落書きのような奇妙な絵。その、決して上手ではないが、鮮やかで力強い絵を描き続けている寡黙な男、伊苅(いかり)に、ノンフィクションライターの「私」は取材を試みるが……。彼はなぜ、笑われても笑われても、絵を描き続けるのか? 寂れかけた地方の集落を舞台に、孤独な男の半生と隠された真実が、抑制された硬質な語り口で、伏せたカードをめくるように明らかにされていく。ラストには、言いようのない衝撃と感動が待ち受ける傑作長篇。

著者紹介

貫井 徳郎 (ヌクイ トクロウ)  
昭和43(1968)年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。平成5(1993)年に第4回鮎川哲也賞の最終候補作となった「慟哭」で作家デビュー。22(2010)年に『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞を、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)