• 本

砂上

出版社名 KADOKAWA
出版年月 2017年9月
ISBNコード 978-4-04-104600-5
4-04-104600-9
税込価格 1,620円
頁数・縦 220P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 本作は読む者に、ある種「覚悟」を強いるー 。

    とても暗い小説だなという感想がまずある。舞台は札幌から少し離れた町。寂しさと共にその情景は描かれ作品の最後まで読者の気持ちを引っ張ってゆく。雑誌の小さなエッセイ賞に引っかかった小説家志望の柊令央は直後に出版社編集者の小川乙三に喫茶店に呼び出される。別れた夫から毎月支払われるわずかな慰謝料とアルバイトでの生活をしている40歳。乙三はそこで作中でしつこいほど登場する「主体性がない」という言葉を令央に浴びせる。そして編集者としての冷徹さで数え切れないほどの書き直しを令央に命じる。生半可な夢として小説を書き続きていた令央だが乙三との出会いにより小説に真正面から向き合うことになる。日常の丹念な書き込みは読み進めてゆくうちに骨に沁みるような痛みを読者に強いる。主人公自体の生活は地味だが彼女が関係する家族の有り様は普通とはとても言えず、書き直しを続ける小説自体の中にどんどん組み込まれ虚構と現実との区別が不明になるようなものへと変わってゆく。暗いと感じた本作であるが、主人公に心情を重ね、成長や、その先にある希望を知るためにそれは覚悟しなければならないものなのかとも思った。

    (2017年10月19日)

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