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近代小説の表現機構

ちくま学芸文庫 ア52−1

出版社名 筑摩書房
出版年月 2025年11月
ISBNコード 978-4-480-51328-1
4-480-51328-0
税込価格 1,760円
頁数・縦 550,8P 15cm

商品内容

要旨

小説はいかにしてみずから「小説」であることを騙りうるのか。小説は「小説」と銘打たれているから小説なのではない。小説もまたみずから「小説」であろうと精一杯に努め、これをよそおうがゆえに、はじめて「小説」として認知される。小説が小説たろうとするための“よそおい”や“みぶり”を「表現機構」と名付け、分析概念の核に据えて考察することで、近代小説の全体像に新たな見取り図を示す。第1部で、視点、人称、言文一致体、写実主義・個人主義などの理念、自然という概念、私小説、文壇など、複眼的な観点から論じ、第2部では個々の作品からその有用性を確認する。文学研究のあり方を実践的に問う名著。やまなし文学賞・角川源義賞受賞作。

目次

第1部(「小説家」という機構
「言文一致」のよそおい
一人称の近代
「個人主義」という幻想
反照装置としての「自然」 ほか)
第2部(森〓外『舞姫』―“重霧の間”にあるもの
泉鏡花『高野聖』―三つの一人称
田山花袋『蒲団』―共犯する語り
森〓外『雁』―ロマンの生成
志賀直哉『和解』―〈不愉快〉と〈調和〉 ほか)

出版社・メーカーコメント

小説が小説であろうとするための「よそおい」や「みぶり」を「表現機構」と名付けて考察し、小説分析のための新概念を提示した名著。解説 佐藤秀明

著者紹介

安藤 宏 (アンドウ ヒロシ)  
1958年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。同大学院人文科学研究科博士課程中退。同文学部助手を経て、上智大学文学部、東京大学大学院人文社会系研究科/文学部で27年間教鞭を執る。現在、東京大学名誉教授。専門は日本近代文学。『近代小説の表現機構』で博士(文学)を取得。太宰治の研究で知られ、2024年『太宰治論』(東京大学出版会)で日本学士院賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)