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自滅帳

出版社名 晶文社
出版年月 2025年9月
ISBNコード 978-4-7949-8015-1
4-7949-8015-9
税込価格 2,090円
頁数・縦 370P 19cm

商品内容

要旨

本書は「自滅」をみつめる精神科医・春日武彦氏による不穏な論考である。自殺と違い、必ずしも死という到達点をもたない因業な術、そこに人はなぜ引きずり込まれ沈みゆくのか―。滅びのその姿には、絶望、悲しみ、陶然とした安らぎすら存在し、私たちの心の奥底にある「死の欲動」をざわつかせる。古今東西の自滅の物語群の前後に自身の記憶の断片や妄想の切れ端を配した断章の「距離感」から、自滅の存在する意味がぞろり浮かび上がる。詩情をたたえた不気味な営み、それが目の前に放り出されていることに私たちはいまさら気づかされる。またしても不届な十二の終末譚と付録ひとつ、その名は「自滅帳」。

目次

01 淫景 松本清張『断崖』
02 満ち足りた生活 デルフィーヌ・ド・ヴィガン『子供が王様』
03 いじましい人 吉行淳之介『痴』
04 束の間の救い パトリシア・ハイスミス『手持ちの鳥』
05 トランジスターグラマー 林芙美子『牛肉』
06 死に際して思い返す景色 ウィリアム・トレヴァー『ピアノ調律師の妻たち』
07 なめるなよ 笠原淳『サイモンの塔』
08 異物 H・E・ベイツ『愛ならぬ愛』
09 不死の人 丹羽文雄『虚実』
10 はたらくこども アレクサンダー・マクラウド『ループ』
11 隻脚の画家 有馬頼義『小隊長、前へ』
12 蟹っぽい ジョン・チーヴァー『ライソン夫妻の秘密』
付録 犀を贈る トム・フランクリン『ダイノソア』

著者紹介

春日 武彦 (カスガ タケヒコ)  
1951(昭和26)年、京都府生まれ。日本医科大学卒業。医学博士。産婦人科医を経て精神科医に。都立中部総合精神保健福祉センター、都立松沢病院精神科部長、都立墨東病院精神科部長などを経て成仁病院名誉院長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)