• 本

公認「地震予知」を疑う

出版社名 柏書房
出版年月 2004年2月
ISBNコード 978-4-7601-2488-6
4-7601-2488-8
税込価格 1,540円
頁数・縦 238P 19cm

商品内容

要旨

なぜ地震は予知できないのか。地震をめぐる法律と学問の25年とは。阪神淡路大震災後のお役人たちの迷走。「東海地震対策大綱」解読。そして来る大地震に備え我々は何をすべきなのか…。地震を研究するため世界の海を駆けめぐる地球物理学者、その心配と本音が交錯するニッポン「地震学」盛衰記。

目次

1 地震が予知できない理由(地震予知は「科学」なのだろうか
天気予報と地震予知の違い ほか)
2 地震学と法律をめぐる25年―私たちは何を予知していたのだろう?(「大震法」という名の有事立法?
天災と科学と政治 ほか)
3 迷走するお役人―阪神淡路大震災以後(阪神淡路大震災をふりかえる
倒壊しないはずの高速道路が横倒しに ほか)
4 「東海地震対策大綱」の周りにある穴(東海地震の被害想定
予知に成功した場合の被害想定 ほか)
5 地震という妖怪と上手につきあう方法(政府が与えた「誤解」
文明とともに「進化」する被害 ほか)

おすすめコメント

政・官・学の現場を知る地震学者による、ニッポン地震政治へ向けた辛口の批判書。―約40年間で3000億円以上の巨費が投じられた地震予知計画。阪神淡路大震災が起きる前に発表した,野島断層による地震発生予測の確率は、なんと30年以内で1%以下だった・・・。私たちの命を守る、まっとうな地震対策とは何か?

内容抜粋

本書「あとがき」より

この本は、政府がやっている地震対策に対しての辛口の批判である。地震予知ができるのか、できないのか、どこがどのくらいむつかしいのか、政府はそれを国民に十分に説明していないのではないか、と私は思っている。それゆえ辛口の本になった。その意味では、私の前作『地震学がよくわかる−−誰も知らない地球のドラマ』(彰国社、2002年)を、「地震は人を殺さない、殺すのは人間が作った構造物だ」という「地震の研究者兼弁護人の弁明」として書いたのとは、志向を変えている。地震学者として地震を予知することによって人命を救い、役立ちたいという、どの地質学者も持っていた「初心」が、どのように国やお役人に「利用」され、各官庁の勢力争いや予算獲得に使われてきたかを、この本で書いてきた。そして、この傾向は、阪神淡路大震災以後、地震研究を旧科学技術庁系のお役人が主導するようになって、一層強くなってきている。

著者紹介

島村 英紀 (シマムラ ヒデキ)  
1941年生まれ。東大卒。理学博士。北海道大学地震火山研究観測センター教授。東大助手、北大助教授、海底地震観測施設長、地震火山研究観測センター長を経て、現職。「地球の事件」を追って、北極から南極まで地球のあちこちを飛び回っている。国際人工地震学会の会長も務めた。ポーランド科学アカデミー会員。著書『地震と火山の島国―極北アイスランドで考えたこと』(岩波書店)で産経児童出版文化賞、『地球の腹と胸の内―地震研究の最前線と冒険譚』(情報センター出版局)で講談社出版文化賞、『地震をさぐる』(国土社)で日本科学読物賞受賞。その他(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)