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その昔、N市では

カシュニッツ短編傑作選

出版社名 東京創元社
出版年月 2022年9月
ISBNコード 978-4-488-01117-8
4-488-01117-9
税込価格 2,200円
頁数・縦 220P 20cm

商品内容

要旨

兄は船旅に出る妹を見送ったが、それは彼女が乗る予定の船ではなかった。ひと月後、妹から手紙が届く。彼女は、その船では日付も時刻も現在位置も確認できないと書いていた。手紙を読み進めるにつれ、内容はさらに常軌を逸していき…(「船の話」)。ある日突然、部屋の中に謎の大きな鳥が現れる。“わたし”は、なぜか外に出ていかない鳥の正体を突き止めようとするが…(「ロック鳥」)。旅行から帰ったら、自分が死んだとアパートの住人に触れまわった女がいたという奇妙な話を聞かされて…(「六月半ばの真昼どき」)。大都会N市では、死体から蘇生させられた“灰色の者”たちが、清掃や介護などの労働を人間の代わりに行っていた。彼らに生前の記憶は一切なく、恐怖も希望も憎悪も持ち合わせていない。しかしある時、“灰色の者”たちにすさまじい変化が訪れ…(「その昔、N市では」)。日常に忍びこむ奇妙な幻想。背筋を震わせる人間心理の闇。懸命に生きる人々の切なさ。戦後ドイツを代表する女性作家の粋を集めた、全15作の日本オリジナル傑作選!

出版社・メーカーコメント

日常に忍びこむ幻想。戦慄の人間心理。奇妙な出来事が人々を翻弄する――。その、巧みな一撃。戦後ドイツを代表する女性作家の名作を集成した、全15作の日本オリジナル短編集! ある日突然、部屋の中に巨大な鳥が現れる「ロック鳥」、旅行から帰ったら、自分が死んだと知らせてきた女がいたという話を聞く「六月半ばの真昼どき」、見た夢と現実が区別がつかなくなっていく少女を描く「ジェニファーの夢」、間違えて違う船に妹を乗せてしまった兄のもとに、常軌を逸していく妹の手紙が届き続ける「船の話」。日常に幻想が忍び込み、人間心理の恐さが背筋を震わせる。戦後ドイツを代表する女性作家の粋を集めた、本邦初訳7作を含む全15作の傑作短編集! ■目次「白熊」「ジェニファーの夢」「精霊トゥンシュ」「船の話」「ロック鳥」「幽霊」「六月半ばの真昼どき」「ルピナス」「長い影」「長距離電話」「その昔、N市では」「見知らぬ土地」「いいですよ、わたしの天使」「人間という」

著者紹介

カシュニッツ,マリー・ルイーゼ (カシュニッツ,マリールイーゼ)   Kaschnitz,Marie Luise
1901年、ドイツのカールスルーエ生まれ。詩人、小説家。考古学者の夫の任地を転々とし、フランクフルトやローマに滞在。1930年代から創作活動を開始し、詩や小説、ラジオ・ドラマの脚本、エッセイなど多くの領域で活躍した。1955年にビューヒナー賞を、1970年にヘーベル賞を受賞。1974年没
酒寄 進一 (サカヨリ シンイチ)  
ドイツ文学翻訳家、和光大学教授。主な訳書として、2012年本屋大賞翻訳小説部門第1位に選ばれたシーラッハ『犯罪』、2021年日本子どもの本研究会第5回作品賞特別賞を受賞したコルドン“ベルリン三部作”などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)