• 本

壊れた脳生存する知

出版社名 講談社
出版年月 2004年2月
ISBNコード 978-4-06-212268-9
4-06-212268-5
税込価格 1,760円
頁数・縦 254P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 新年早々、何気なく見た新聞の宣伝コピーに「3度脳出血に倒れ・・リハビリによって現役復帰」とあり、早速注文して、読んでみた、期待以上であった。学生時代に「モヤモヤ病」後遺症もなく、実家の整形外科医を継ぐ。その後脳出血で頭頂葉をやられる。「高次脳機能障害」という病名。眼、知的障害もないのに、空間認識ができない。階段が上りか下りか、即認識できない。新聞読むにしても、1行読んで、どっちに進んで読めばいいかわからない。お茶碗をおくとき、この辺に置けばいいだろう、と「見切り発車」そうすると。スープ皿の上に置いて、お茶碗の下をぬらす。こんな失敗の連続。しかし知性があるから、繰り返し繰りかえし。脳の空白部分を埋めてくリハビリ。作者は言うリハビリを2年続けると変化が現れると。そんなときまた脳出血、今度は150グラムの出血、また続くリハビリ。これほどに精緻に実体験から内面を表現した本があっただろうか。 表現的確でよくよく理解できる。と同時にそれ以上、こんなに頑張ってリハビリに戦っている、自伝的内容は多くの人に読んでいただきたい。(たか)

    (2005年1月23日)

商品内容

要旨

三度の脳出血、その後の後遺症と闘う医師の生き方。

目次

序章 壊れた脳の中、教えます
第1章 私は奇想天外な世界の住人
第2章 脳に潜んでいた病気の芽
第3章 病気を科学してみたら
第4章 あわや植物人間
第5章 世界はどこもバリアだらけ
第6章 普通の暮らしが最高のリハビリ

出版社
商品紹介

私の脳は左脳と頭頂葉の一部が壊れている。だから遠近感がない、服がうまく着られない。脳卒中後の脳が見る世界を赤裸々につづり、医者として分析した貴重な記録。

おすすめコメント

「からっぽになった脳」を少しずつ埋めていく「成長のし直し」の記録! 3度の脳出血、その後遺症と闘う医師の生き方! 靴のつま先とかかとを逆に履こうとする。食事中、持っていた皿をスープ皿の中に置いてしまう。和式の便器に足を突っ込む……。なぜこんな失敗をしでかすのか、自分でもさっぱりわからなかった。 「何やってんだろう、私」 そう。高次脳機能障害の本当のつらさがここにある。おかしな自分がわかるからつらい。知能の低下はひどくないので、自分の失敗がわかる。失敗したとき、人が何を言っているかもわかる。だから悲しい。いっこうにしゃんとしてくれない頭にイライラする。度重なるミスに、われながらあきれるわ、へこむわ、まったく自分が自分でいやになる。――(第3章より抜粋) 本書は医学的にも稀有な、貴重な記録である。 本書の内省の対象は、自分自身の心の障害である。壊れた脳が作り出す、自分の心のほころびについて率直に語っている。言うまでもないことだが、心という現象は主観的なものであり、本人以外には経験できない。(中略)自分がどういう状態にあり、どんな手助けをしてほしいのかなどということを周囲に教えてくれるわけではない。本人自身が薄闇の中にあり、そんなことはできないのである。その薄闇にある自分の障害と向き合い、その内容を教えてくれるのが本書である。 ――神戸学院大学人文学部教授 山鳥重 「解説」より抜粋

出版社・メーカーコメント

脳を病んでも知能も心も壊れていない! 私の脳は左脳と頭頂葉の一部が壊れている。だから遠近感がない、服がうまく着られない。脳卒中後の脳が見る世界を赤裸々に綴り、医者として分析した貴重な記録。

著者紹介

山田 規畝子 (ヤマダ キクコ)  
1964年、香川県高松市に生まれる。東京女子医科大学在学中に一過性虚血発作と脳出血を起こす。「モヤモヤ病」の持病が発覚したが、後遺症もなく卒業。整形外科医として同大学附属病院に勤務。二六歳で郷里の大学病院に転勤、三〇歳で長男を出産。三三歳で父親が院長を務めていた山田整形外科病院の院長になる。三四歳のときの脳出血に脳梗塞を併発。「高次脳機能障害」となり、外科医への復帰は断念するが、高次脳機能障害のリハビリ医としての研修を兼ねて愛媛県の伊予病院に勤務。三七歳で三度目の脳出血を起こし、巨大血腫を摘出。さまざまな後遺症や薬の副作用に苦しみながらも、自ら考え出したリハビリで快方に向かい、今治市の老人保健施設の施設長として社会復帰を果たす。その後、夫と離婚、今後はひとり息子と二人三脚の暮らしをしながら、新たな側面から脳機能障害に取り組む予定(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)