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廣松渉−近代の超克

講談社学術文庫 2310 再発見日本の哲学

出版社名 講談社
出版年月 2015年8月
ISBNコード 978-4-06-292310-1
4-06-292310-6
税込価格 880円
頁数・縦 210P 15cm

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商品内容

要旨

そもそも資本とは何か、科学技術とは何か、そして結局のところ人間とは何か、そういう大きく根本的な問いが切実なリアリティをもって迫ってくるとき、おそらく廣松の批判哲学は依然として今日のわれわれにとって重要な意味をもちつづけることだろう。左翼の理論的支柱として、戦後日本思想をリードした廣松を日本思想史の中に位置づけた名著の文庫化なる。

目次

序章 乗り越えへの希求(難解な文体の起源をめぐって
宣言する思想
郷里を出る知の型)
第1章 近代という問題系(市民社会とネーション
機械的合理主義
アトミズムと主題・客観の分離)
第2章 マルクス主義の地平(疎外論から物象化論へ
世界の共同主観的存在構造
役割行為から権力へ)
第3章 日本思想の中の廣松渉(京都学派批判の意味するもの
近代主義の近代観
近代の超克のパラドックス)

おすすめコメント

マルクス主義によりながら、日本を考え続けた戦後日本の代表的哲学者・廣松渉。難解な漢語を多用する独自の文体で多くの読者を魅了したその思想の本質とはなにか。廣松の高弟でもあった著者が明解に論じ、朝日新聞の「ゼロ年代の50冊」にも選ばれた名著が、待望の文庫化。たとえば、有名な概念である「物象化」とはなんだろうか。商品には、労働の産物としての価値だけではなく、それ以上の、物神的な性格が宿る。そこには、「物」以上の価値がうまれる。「価値」は、単純に人間の労働が生み出すだけなのではなく、むしろ社会的な関係から生まれるのだ。これをマルクスは「総労働に対する生産者たちの社会的関係」から価値が決定されると言った。廣松は、マルクスを再解釈しながら、この視点を独自の思考で深めてゆく。「物象化」は経済の概念を超えて、廣松の哲学的思索のカギとなる。ここには、マルクス主義者として、戦後日本の左翼思想のリードした思想家の側面と、その思想を哲学として深めていく哲学者の側面との両方が、垣間見えるだろう。日本社会にとって、廣松とは、なんであったのか。保守もリベラルもなく、ひたすら混乱した政治風土に生きざるをえない現在のわれわれ日本人が、いまこそ読み直すにふさわしい哲学といえる。本書は、その、恰好の入門書である。

著者紹介

小林 敏明 (コバヤシ トシアキ)  
1948年岐阜県生まれ。ライプツィヒ大学東アジア研究所教授。専攻は哲学、精神病理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)