黒い絵
出版社名 | 講談社 |
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出版年月 | 2023年10月 |
ISBNコード |
978-4-06-533239-9
(4-06-533239-7) |
税込価格 | 1,870円 |
頁数・縦 | 214P 20cm |
NetGalley 会員レビュー レビュアー おすすめ度 著者らしく、絵画テーマで6編。でも暗い。こんなダークな原田マハを知らない。クレヨンで真っ黒に塗った画用紙に、鉄筆で描くスクラッチアート。中からどんな色が出てくるか分からないように、女たちの奥底が見えない。爪で引っかかれたところから、ポロリと本音が出る。芥川の『地獄変』を下敷きとした話もある。創作に携わる者の苦しみは、作家のテーマだ。すんなり受け入れられる。とても親和性が高い。 レビュアー おすすめ度 原田マハさんといえば、アート系の作品や旅系の作品が頭にすぐ浮かびますが、今作、初の「ノワール小説集」は衝撃の全6編です。塗りつぶしたような黒い感情すらも、その濃淡を堪能しながら一枚の絵画を鑑賞したような、不思議な感覚を覚えました。私はマハさんのゴッホが登場する作品が大好きなので、この短編集のなかでも、「向日葵奇譚」がとても好きです。こんな原田マハさんの作品読んだことがない! その衝撃は大きかったですが、さらにマハさんのファンになりました。 メディア関係者 おすすめ度 美術界を舞台にした小説が有名な人だが、実は美術を通して人間ドラマを描いてきたのだということを実感させられる一冊。原田マハならではの、しかしいつもとはちょっと表情の違う短編を集めた「黒い本」だ。人には必ずどす黒い一面がある。そこは、欲望が沈澱する地獄。恨み、妬み、嫉妬、歪んだ性愛、歪な欲望……それこそは人間の本質でもある。もちろんアート由縁のストーリーもある。だがいつも以上にどす黒い。だからなのか、なぜか愛おしさを感じてしまう。 上記レビューの提供元:NetGalley(株式会社メディアドゥ) NetGalleyとは、本を応援するWEBサイトです。 |
商品内容
要旨 |
禁断の書。アートの世界の闇にうごめく秘め事とは?衝撃の小説集。禁じられた遊び、爛れたエロス、閃く殺意―。 |
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出版社・メーカーコメント
ついに封印を解かれたのは、著者初の「ノワール小説集」。嗜虐と背徳によって黒く塗りこめられた衝撃作!深海魚 Secret Sanctuary高校生の真央は友だちも彼氏もいないうえ、クラスメイトからいじめられていた。そんな真央が安息を得られるのは押入れの中だけだった。真っ暗にすると「海の底」のようで……。楽園の破片 A Piece of Paradiseニューヨーク発の急行列車は遅れていた。ボストン美術館での講演会でスピーチをする予定の響子は焦る。もうひとりの話者のレイとは7年間の不倫関係を清算したばかりだった。指 Touch私は私大の日本美術史博士課程の2年生。家庭を持つ彼の研究室で助手をしている。ある週末に奈良の室生寺を訪れ、ずっと手をつないでいる私たちは、どう見ても不倫カップルだ。キアーラ Chiaraアッシジには10年ぶりの再訪だった。亜季は文化財の修復科のある芸術大学を休学して20歳で渡伊し、長年フレスコ画修復の修業をしていたところ、中部の大地震に見舞われ……。オフィーリア Opheliaわたくしは絵の中の囚われ人。水に浸ってあとひと息で命が絶えるその瞬間を、生き続けています。ロンドンから日本へ連れて来られたわたくしが目撃した、残虐な復讐とは…。向日葵(ひまわり)奇譚 Strange Sunflower超売れっ子の役者・山埜祥哉の舞台の脚本を書きたくて、脚本家の私は、ゴッホが主人公の脚本を完成させる。が、脚本が仕上がった直後に、ゴッホらしき人物の奇妙な写真を入手して……。