真実の口
出版社名 | 講談社 |
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出版年月 | 2024年4月 |
ISBNコード |
978-4-06-534411-8
(4-06-534411-5) |
税込価格 | 1,650円 |
頁数・縦 | 270P 20cm |
NetGalley 会員レビュー
おすすめ度 いとうみくさんは、今回もまた、これは本当に「児童書」なのですか、と思う、なかなかに重たい、けれどとても大切な事を問いかける本を書いてくださいました。自分は大人だから、どうしても大人の論理で考えてしまうけれど、一番大切な事は、今、目の前にいる1人を守る事のはず。思い込まずに、こういう事もあり得るんだ、と、真実を見極めようという思いを、しっかり持ちたいと思いました。作中に子どものワガママについて書かれています。このセリフに救われて、我が家の反抗期(だいぶ落ち着きましたが)&わがまま言いたい放題状態を、愛おしく感じられるようになりました。
おすすめ度 ある冬の夜、幼い少女を見つけた中学3年生の3人。彼らが少女を保護して交番に連れていくと、少女の母親が迎えにきました。それから半年がたち、3人はそれぞれ高校に進みますが、あの夜のことに違和感を持ち続けます。虐待やネグレクトのニュースが報じられる度、サインが出ているのに傷つけられる子どもたちがいることに胸が痛みます。どこかに助けを求めサインを出している子どもがいるかもしれない。そのサインを受け取り、傍観者にならず、問題意識を持って行動できるかという問いを突きつけられました。児童書でありながらも、大人にこそ読んでほしいです。
おすすめ度 毎日のようにTVやSNSで見聞きする児童虐待のニュース。その隙間にはこの物語のような出来事がたくさん潜んでいるのかもしれない、と思わされた。憤り、悲しみ、でも何もできない、何もしていない自分を情けなく思う人も多いだろう(私も)。でも、知ること、知っていることがどこかにつながることごできる、ということも忘れないでいたい。3人の高校生たちの姿が、リアルで、好感が持てる。同年代であれば、誰か1人と自分を重ね合わせて読めるのではないだろうか。日常のモヤモヤとした思い……自分がこんな行動ができたら……それを具体化して見せてくれている物語だと思った。この3人はどんな大人になるんだろう。ぜひ続編も読んでみたい。 上記レビューの提供元:NetGalley(株式会社メディアドゥ) NetGalleyとは、本を応援するWEBサイトです。 |
商品内容
文学賞情報 |
2025年
第65回
日本児童文学者協会賞受賞 |
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要旨 |
雪の降る夜、外で震えている幼い少女を交番に連れて行った中学生3人。感謝状まで贈られた彼らは、少女が見せた抵抗に違和感を抱いていた。少女を保護したことは、はたして「正義」だったのか―。坪田譲治文学賞、河合隼雄物語賞、野間児童文芸賞…数々の受賞歴を誇るトップランナー、いとうみく渾身の書きおろし。 |
出版社・メーカーコメント
夏の読書感想文全国コンクールの課題図書に作品が選ばれる常連であり、野間児童文芸賞、ひろすけ童話賞、河合隼雄物語賞など児童文学の主要な賞を続々受賞した、いとうみくによる書きおろし最新作。中3の冬、受験を控えた青山湊(あおやま・みなと)、七海未央(ななみ・みお)、周東律希(すとう・りつき)の三人は、祠の前にしゃがんでいる小さな女の子を見つけた。雪はやんだようだが、気温は下がっている。何もしゃべらず、動こうとしない少女を放っておけば、凍死してしまうかもしれない。三人が下した判断は、この子を交番に連れて行くというものだった。それから四週間後、校長室に呼ばれた三人を迎えたのは、警察官たちだった。適切な判断と思いやりに感謝状が贈られたのだ−−。高校生になった年の夏、三人はファストフードで再会する。七海が「これ見て」と出したスマホの画面には、親による子どもの虐待事件のニュースが映し出された。もちろん、あのときの女の子とは別人のニュースだ。しかし、三人それぞれがあのときの女の子の様子に不審なものを感じていた。名前や住所を尋ねてもけっして口を開こうとしなかったこと、交番に連れて行こうとしたとき暴れて抵抗したこと……。「もしかして、わたしたちすごい誤解をしてたってことはないかな」。警察から感謝状を贈られた三人は、自分たちの行動が間違っていなかったかをたしかめるため、あのときの女の子を探し始める−−。児童文学界のトップランナーが、人の善意とは、正しい行いとは何なのかを模索する高校生たちを描き切る。