商品内容
要旨 |
14年前、「リセット」を経験した人類は混乱の最中にあった。しかしラロロリン人の考えた「人間リサイクルシステム」がうまく機能し、やがて社会は再生を迎える。そして49歳になった空子は「クリーンな人」として、美しく優しい世界を生きている。「クリーン・タウン」の実家に戻り、同級生の白藤遙とその娘・波とともに。ようやく訪れた穏やかな社会の中心には、さらなる変貌を遂げたピョコルンがいた。都合の良い「道具」・ピョコルンを生み出した果てに人類が到った極地とは。村田沙耶香の全てが詰まった新たなる代表作。 |
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出版社・メーカーコメント
小説というものの輪郭が、いわば地球を覗く窓の形が、本書によりまた大きく更新されました。それはつまり、この本の中で初めて寛げる人がいるということです。救済と爆弾は同じ姿で在れるのだと気付かされました。朝井リョウさん(作家)本当は貴方もわかっていたんだろう? と迫る声が脳内に鳴り響く。熱に浮かされるようにページを捲る手が止まらない。これは本型ワクチン。世界99に誘われ、もう元いた場所へは戻れない。宇垣美里さん(フリーアナウンサー・俳優)足元の地面がふいになくなり、正常と異常の境目が消え失せ、目眩がする。人間という生き物の滑稽さ、グロテスクさ、美しさ、不思議さが、この本の中にすべて詰まっている。岸本佐知子さん(翻訳家)空子がこの世界で体に蓄積する小さな暴力の音とか、風とか、どれも僕の心に刻まれていきました。物語で一緒に過ごせた時間は、僕の宝です。ロバート キャンベルさん(日本文学研究者)私たち、ピョコルンに、全部捨てられるようになりましたよね。性欲を。出産を。育児を。介護を。人生の時間を食いつぶす、あらゆる雑務を。14年前、「リセット」を経験した人類は混乱の最中にあった。しかしラロロリン人の考えた「人間リサイクルシステム」がうまく機能し、やがて社会は再生を迎える。そして49歳になった空子は「クリーンな人」として、美しく優しい世界を生きている。生まれ育った街「クリーン・タウン」の実家に戻り、同級生の白藤遥とその娘・波とともに。ようやく訪れた穏やかな社会の中心には、さらなる変貌を遂げたピョコルンがいた。村田沙耶香渾身の大長編、ここに完結。都合の良い「道具」・ピョコルンを生み出した果てに、人類が到った極地とは――。【著者略歴】村田沙耶香 (むらた・さやか)1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。2003年「授乳」で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)受賞。2009年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、2016年「コンビニ人間」で芥川賞受賞。著書に『マウス』『星が吸う水』『ハコブネ』『タダイマトビラ』『殺人出産』『消滅世界』『生命式』『変半身』『丸の内魔法少女ミラクリーナ』『信仰』などがある。