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縄文 革命とナショナリズム

出版社名 太田出版
出版年月 2025年6月
ISBNコード 978-4-7783-1972-4
4-7783-1972-9
税込価格 3,080円
頁数・縦 429P 19cm

商品内容

要旨

戦後日本において岡本太郎が縄文を発見し、思想家、芸術家たちのなかで縄文への関心が高まった。柳宗悦ら民芸運動の巨匠たちが縄文に本当の美を見出し、島尾敏雄が天皇以前の原日本人の姿を託し、吉本隆明を南島論へと向かわせた。縄文は日本赤軍のイデオロギーにも取り込まれ、オカルトを経由しニューエイジ、スピリチュアリズムに至る。梅原猛が霊的世界を称揚する縄文論を展開し、「縄文ナショナリズム」を生み出すことになった。それは、一九九〇年代の右傾化現象のなかでさらに裾野を広げている。

目次

序章 戦後日本が「縄文」に見ようとしたもの
第一章 岡本太郎と「日本の伝統」
第2章 民芸運動とイノセント・ワールド
第三章 南島とヤポネシア
第四章 オカルトとヒッピー
第五章 偽史のポリティクス―太田竜の軌跡
第六章 新京都学派の深層文化論―上山春平と梅原猛
終章 縄文スピリチュアルと右派ナショナリズム

出版社・メーカーコメント

戦後日本は何につまずき、いかなる願望を「縄文」に投影したのか。岡本太郎が縄文を発見し、思想家、芸術家たちのなかで縄文への関心が高まった。柳宗悦ら民芸運動の巨匠たちが縄文に本当の美を見いだし、島尾敏雄が天皇以前の原日本人の姿を託し、吉本隆明を南島論へと向かわせた。縄文は日本赤軍のイデオロギーにも取り込まれ、オカルトを経由しニューエイジ、スピリチュアリズムに至る。梅原猛が霊的世界を称揚する縄文論を展開し、「縄文ナショナリズム」を生み出すことになった。それは、1990年代の右傾化現象のなかでさらに裾野を広げている。戦後日本人の新たな精神史。序章 戦後日本が「縄文」に見ようとしたもの第一章 岡本太郎と「日本の伝統」 縄文発見 対極主義と「日本の伝統」第二章 民芸運動とイノセント・ワールド 民芸運動と「原始工芸」 濱田庄司の縄文土器づくり 最後の柳宗悦第三章 南島とヤポネシア 島尾敏雄の「ヤポネシア」論 吉本隆明『共同幻想論』と「異族の論理」 「ヤポネシア」と縄文第四章 オカルトとヒッピー 空飛ぶ円盤と宇宙考古学 原始に帰れ! ヒッピーとコミューン第五章 偽史のポリティクス 太田竜の軌跡 偽史と革命 辺境への退却 スピリチュアリティ・陰謀論・ナショナリズム第六章 新京都学派の深層文化論 上山春平と梅原猛 上山春平と照葉樹林文化論 梅原猛 縄文とアイヌ終章 縄文スピリチュアルと右派ナショナリズム

著者紹介

中島 岳志 (ナカジマ タケシ)  
1975年大阪府生まれ。東京科学大学リベラルアーツ研究教育院教授。大阪外国語大学外国語学部地域文化学科ヒンディー語専攻卒業。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了、博士(地域研究)。北海道大学大学院法学研究科准教授を経て、現職。専門は南アジア地域研究、日本思想史、政治学、歴史学。2005年、『中村屋のボース インド独立運動と近代日本のアジア主義』(白水社)で大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞大賞受賞。2007年、『ナショナリズムと宗教 現代インドのヒンドゥー・ナショナリズム運動』(春風社)日本南アジア学会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)