• 本

能の女たち

文春新書 139

出版社名 文藝春秋
出版年月 2000年11月
ISBNコード 978-4-16-660139-4
4-16-660139-3
税込価格 748円
頁数・縦 214P 18cm

商品内容

要旨

十二の能をとりあげ、そこに登場する女性たちの愛憎劇を練達の筆が描きだします。姉と妹が一人の男を愛したときの複雑な嫉妬。あるいは、年老いた下僕に恋されてしまった絶世の美女の困惑。浅ましいわが身に絶望しつつ、救いを求めずにはいられない孤独。年老いて自然にかえっていく女―。厳しく決められた様式の下から、古今変わらぬ人間心理を鋭くつかみ出し、現代人の共感をよぶ一冊です。

目次

1 『清経』の愛人―男の絶望の深さを、理解できなかった女。
2 『黒塚』の鬼女―業を負った女の悲しみと孤独。
3 『恋重荷』の女御―サディズムの代償は「死」か、それとも「許し」か。
4 『羽衣』の天女―天真無垢な心が持つ浄化力。
5 『鉢木』の妻―事の本質を見誤らなかった眼、つつましやかな叡智の勝利。
6 『鉄輪』の女―生きながら鬼となるぶきみさ。それはだれもが心の底に秘めている呪い願望の形象化か。
7 『海人』の海女―我が身を犠牲にして勝ち取った息子の栄達。
8 『松風』の妹―姉と分かち合った愛。その軽重を計る苦しさ。
9 『篭太鼓』の妻―狂気を装うしたたかな策略。女房族の強さは現代と変らず。
10 『隅田川』の母―ひたすらな歎き。没我の愛。
11 『藤戸』の母―権力を屈伏させた底辺の力。
12 『山姥』の老女―女の或る者は老いて哲理となり、大自然と一体化する。