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ローマ人の物語 6

勝者の混迷 上

新潮文庫

出版社名 新潮社
出版年月 2002年9月
ISBNコード 978-4-10-118156-1
4-10-118156-X
税込価格 605円
頁数・縦 195P 16cm
シリーズ名 ローマ人の物語

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • ポエニ戦役を通じて、ローマは外の敵を取り除くことに成功した。急速に大きくなったローマは、それにともなう「内なる敵」すなわち経済構造の激変に直面する。結果として生じた深刻な問題が無産者の出現だった。著者が語った次の言葉が印象的だ。「人間が人間らしく生きていくために必要な自分自身に対しての誇りは、福祉では絶対に回復できない。職を取り戻してやることでしか、回復できないのである」と。
     かつてヘーゲルは『法の哲学』で市民社会について考察し、自分の人生の基本を職業生活に求めて、初めて相応の”誇り”も得られるのだと説いた。そして、幸田文の『流れる』では、主人公の梨花が広いが退屈なしろうとの世界より、狭いが豊かな芸者置屋の世界を転職先に選んだ。これは安楽さよりも、まずその職業に自分の人生を賭けることが出来るかどうかが自身の”誇り”を左右することをも意味しよう。
     この巻のローマの迷走は、経済活動における自由を拡大しようとした苦闘の歩みであるといえる。そのシステム改良の積み重ねが、ローマの歴史そのものでもあるのだ。

    (2012年1月4日)

商品内容

要旨

紀元前2世紀半ば、強大国であったカルタゴを滅亡させ、ローマは地中海世界の覇者と呼ばれるようになっていた。しかしそのローマも次第に内部から病み始める。名将スキピオ・アフリカヌスの孫であり、若き護民官となったティベリウス・グラックスは、改革を断行すべく、強大な権力を握る元老院に挑戦するが、あえなく惨殺される。遺志を継ぎ護民官となった弟ガイウスの前にも「内なる敵」は立ちはだかる。

目次

第1章 グラックス兄弟の時代(紀元前一三三年〜前一二〇年)
第2章 マリウスとスッラの時代(紀元前一二〇年〜前七八年)

著者紹介

塩野 七生 (シオノ ナナミ)  
1937年7月7日、東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに遊学。68年に執筆活動を開始し、「ルネサンスの女たち」を「中央公論」誌に発表。初めての書下ろし長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』により1970年度毎日出版文化賞を受賞。この年からイタリアに住む。82年、『海の都の物語』によりサントリー学芸賞。83年、菊池寛賞。92年より、ローマ帝国興亡の一千年を描く「ローマ人の物語」にとりくむ。93年、『ローマ人の物語1』により新潮学芸賞。99年、司馬遼太郎賞。2002年、イタリア政府より国家功労賞を授与される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)