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嵐が丘

新潮文庫

出版社名 新潮社
出版年月 2003年7月
ISBNコード 978-4-10-209704-5
4-10-209704-X
税込価格 990円
頁数・縦 707P 16cm
シリーズ名 嵐が丘

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • この古典的傑作でわれわれに何が問われているのか、このことについて考えてみたい。まず、最初に断わっておくが、様々な読み方ができる小説である。キャサリンとヒースクリフの恋愛小説と読むこともできようし、また自分を裏切ったキャサリンに対するヒースクリフの復讐劇とも読むことができる。あるいは、本書の訳者である鴻巣友季子さんが述べているように、人間のエゴと心理を描いた心のリアリズムと読むこともできよう。だが、これらの見方を踏まえたうえで、改めて何が問われているのかといえば、読書子はそれは「愛とは何か」であるといいたい。自分を裏切りエドガーと結婚したキャサリンに対してヒースクリフはこう語る。『おまえのした仕打ちは赦そう。俺は自分を殺めた相手をも愛す−だが、おまえをあやめた張本人をどうして愛せる?』エミリ・ブロンテは看破していた。自分が他人にしてした悪は、結局自分自身に対してした悪であることを。そして、ヒースクリフがキャサリンに対して示したのは見返りを求めない最高の愛であるけれども、その愛にもキャサリンが自分自身にした悪までもは救い得ないという限界があることを。『嵐が丘』出版の36年後、ニーチェはツアラトゥストラにこう語らせている。『君が私にしたこと、それをわたしは君に許す。しかし、君がその行為を君にたいしてしたということ、そのことを許す資格がどうしてわたしにあるだろうか』(手塚富雄訳)と。読書子は、ここでこの二人の大作家の邂逅を見いだした瞬間、たまらない読書の悦びを味わったのである。(のり)

    (2008年11月9日)

おすすめコメント

永遠の恋愛小説。待望の新訳成る!  寒風吹きすさぶヨークシャーにそびえる〈嵐が丘〉の屋敷。その主人に拾われたヒースクリフは、屋敷の娘キャサリンに焦がれながら、若主人の虐待を耐え忍んできた。そんな彼にもたらされたキャサリンの結婚話。絶望に打ちひしがれて屋敷を去ったヒースクリフは、やがて莫大な富を得、復讐に燃えて戻ってきた……。一世紀半にわたって世界の女性を虜にした恋愛小説の“新世紀決定版”。