• 本

エコノミスト南の貧困と闘う

出版社名 東洋経済新報社
出版年月 2003年7月
ISBNコード 978-4-492-44304-0
4-492-44304-5
税込価格 3,300円
頁数・縦 420,42P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 世界の貧困に関心がある人ならば必読

    なぜ未だに多くの国が貧困から抜け出せないのか、と考えた事がある人は少なくないだろう。先進国だって努力してないわけじゃない。色々な考えの元に、今まで様々なことを試している。でも、債務放棄も教育への投資も人口抑制も、その他諸々、大抵は巧くいかなかったのだ。専門の援助機関だけじゃなく、独り善がりなNGOはそれに輪をかけてなんの役にも立たなかったりもした。それらがなぜ駄目だったのか、ということはこの本を読めばわかるだろう。理論と経験のどちらにも偏り過ぎない著者の姿勢は、この手の類書の中では抜きん出ている。すこし翻訳が硬いのが残念だが、それほど難しい話がされているわけでもないので、そこを我慢して読み進めるだけの価値はあるだろう。これからなにがしかの援助活動に加わろうとしている人は、その前に是非ともこの本を読んで欲しい。

    (2006年9月8日)

商品内容

要旨

本書は、「なぜ貧困はなくならないのか」という開発経済学における一大テーマを、著者の世銀時代の経験をフルに生かしてわかりやすくひも解く。第1部、第2部では、エコノミストが過去50年間、いかに途上国経済の運営に失敗してきたかをみていく。第3部では、著者の新しい処方箋が語られる。すなわち、「貧しい人々には貧しさから抜け出すインセンティブがないことが多く、政府は貧困の罠から抜け出すインセンティブを提供してあげなくてはならない」のである。「…そして、多くの貧しい国が豊かになりますように」。本書を締めくくるこの著者の言葉と同じ思いを持つ読者に手にとっていただきたい一冊。

目次

第1部 なぜ成長が重要なのか(貧しい人々を助ける)
第2部 うまくいかなかった処方箋(投資に対する援助
ソローが与えた衝撃―投資は成長の主因にはならない
教育は成果をもたらしたか
コンドームへの資金援助は必要か
借金はしたが成長はしなかった
債務救済の功罪)
第3部 人はインセンティブに反応する(規模に関する収穫逓増の物語―知識の波及、技能のマッチング、貧困の罠
創造的破壊―技術の力
不幸な星のもとに
政府は成長を殺すことがある
汚職と成長
分断された人々
結論―ラホールから)

著者紹介

イースタリー,ウィリアム (イースタリー,ウィリアム)   Easterly,William
1957年、ウェスト・バージニア州に生まれる。1985年、MITで経済学博士号(Ph.D.)取得。世界銀行に入行。1985‐87年には西アフリカ、コロンビアの融資担当エコノミストとして、以降2001年まで調査局のシニアアドバイザーとして世界各地を飛び回り、数多くの会議やセミナーに出席し、多数の論文を書くなど、「経済成長分析」の専門家として精力的に活動。2001年世界銀行を退職。現在はニューヨーク大学経済学部教授。そのほかセンター・フォー・グローバル・デベロップメント(CGD)および国際経済研究所(IIE)の非常勤シニア・フェローも務める
小浜 裕久 (コハマ ヒロヒサ)  
1949年川崎市に生まれる。1972年慶応義塾大学経済学部卒業。1974年慶応義塾大学大学院経済学研究科修士課程修了。現在、静岡県立大学国際関係学部教授
織井 啓介 (オリイ ケイスケ)  
1957年松本市に生まれる。1982年一橋大学経済学部卒業。1998年青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了。現在、国際協力銀行開発金融研究所専門調査員、一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程
冨田 陽子 (トミタ ヨウコ)  
1946年苫小牧市に生まれる。1969年慶応義塾大学経済学部卒業。現在、セーコロ21(翻訳・研究図書出版)所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)