書店レビュー
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- たつみ書店 (奈良県奈良市)
常に、本は職業柄毎日何かを読んでいる。暇なもので、又本読んでるな!としかられ乍ら、活字から離れるのは淋しい方だ。だから自分の中ではそんなもの早く書ける、という自負があって簡単に考えて前にすわったがさてとなると何を書けば良いのか考えが浮かばない、仕方がないので店の本を取って来た、太宰治の津軽という題の本をとって来た。少しペラペラとまくってみたけれど感想文になりそうにない。実際読んでみると仲々、本文に入りにくい事、おびただしい。それなのに人に本を読めとすすめる職業とは、そのギャップに手も足も出なくなった。
(2009年6月29日)
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同窓会
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- 大地堂・ラ・ラ・ルー店 (茨城県潮来市)
太宰治が、津軽風土記の依頼を受け、生れ故郷の津軽地方を旅した作品。
幼少のころ、旧家で関わった人々(本人にとっては友人達)に再開する。太宰にとってこの旅は、「同窓会」だったのかもしれない。
もちろん、津軽地方を回りながら立ち寄った先の風土、歴史に関しても、事細かに書かれている。その立ち寄った先々で再会した友と酌み交わした酒の席での話は、太宰の人間性を垣間見ることができる。物語の最後に、育ての母(たけ)に会うシーンは、1人の少年に戻ったような、家族の温かいふれあいを感じさせる終りになっている。
一人の人間として、太宰治を身近に感じることが出来る作品かもしれない。(本)(2009年6月25日)
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おすすめコメント
太宰文学のうちには、旧家に生れた者の暗い宿命がある。古沼のような“家”からどうして脱出するか。さらに自分自身からいかにして逃亡するか。しかしこうした運命を凝視し懐かしく回想するような刹那が、一度彼に訪れた。それは昭和19年、津軽風土記の執筆を依頼され3週間にわたって津軽を旅行したときで、こうして生れた本書は、全作品のなかで特異な位置を占める佳品となった。