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ローマ人の物語 8

ユリウス・カエサル ルビコン以前 上

新潮文庫

出版社名 新潮社
出版年月 2004年9月
ISBNコード 978-4-10-118158-5
4-10-118158-6
税込価格 605円
頁数・縦 215P 16cm
シリーズ名 ローマ人の物語

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • この辺で、著者の塩野さんがこの連作を通じて目指したものを確認しておきたい。それは本巻142ページに明らかなように、「人物を描きながら時代を描くこと」にある。むろん本作品の表題『ローマ人の物語』もこのことを表現したものに他ならない。
     さて、いよいよ”人類史上最高の指導者”と称されるユリウス・カエサルが登場する。そのカエサルは「女にモテただけでなく、その女たちから一度も恨みをもたれなかったという稀有な才能の持ち主」であったという。このことについて著者の女性ならではの解釈が面白い。それは、彼が選んだ相手に彼が強烈に求めたがゆえの成功だ、というのである。
     確かに、人間存在の肯定を希求し20世紀詩の最高傑作『ドゥイノの悲歌』を著したドイツの詩人リルケも「愛されることは無常であり、愛することは永続である」と言った。慎重に相手を選んだとはいえ、愛することで常に自分に対する磨きかけを行うことによって、自分の眠っていたものが開花したという解釈だろう。(のり)

    (2012年1月30日)

商品内容

要旨

紀元前100年、ローマの貴族の家に一人の男児が誕生した。その名はユリウス・カエサル。共和政に幕を引き、壮大なる世界帝国への道筋を引いた不世出の創造的天才は、どのような時代に生まれ、いかなる環境に育まれたのか。古代から現代までの、歴史家をはじめとする数多の人々を魅了し続けた英雄カエサルの「諸言行」を丹念に追い、その生涯の全貌を鮮やかに描き出した、シリーズの頂点をなす一作。

著者紹介

塩野 七生 (シオノ ナナミ)  
1937年7月7日、東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに遊学。68年に執筆活動を開始し、「ルネサンスの女たち」を「中央公論」誌に発表。初めての書下ろし長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』により1970年度毎日出版文化賞を受賞。この年からイタリアに住む。82年、『海の都の物語』によりサントリー学芸賞。83年、菊池寛賞。92年より、ローマ帝国興亡の一千年を描く「ローマ人の物語」にとりくむ。93年、『ローマ人の物語1』により新潮学芸賞。99年、司馬遼太郎賞。2002年、イタリア政府より国家功労賞を授与される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)