• 本

やさしい訴え

文春文庫

出版社名 文藝春秋
出版年月 2004年10月
ISBNコード 978-4-16-755702-7
4-16-755702-9
税込価格 759円
頁数・縦 285P 16cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  •  チェンバロは別名ハープシコード、クラブサンともいう。本書ではこの楽器が象徴的に使われている。チェンバロはピアノの前身で、鍵盤が弦を引っ掻くことによって音を出すつくりのため、強弱がつけられない。そのかわり、レジスターによっていろいろな音色がだせる。とても敏感な楽器なのである。チェンバロ作家と女弟子の前に現れた人妻。三人の距離感がまた絶妙。壊れる寸前のギリギリの間合いを保ち、その精巧さに戦慄すら感じさせられる。最後は三人の合作で楽器を完成させる。実に美しい結末である。(のり)

    (2005年10月11日)

商品内容

要旨

夫から逃れ、山あいの別荘に隠れ住む「わたし」が出会った二人。チェンバロ作りの男とその女弟子。深い森に『やさしい訴え』のひそやかな音色が流れる。挫折したピアニスト、酷いかたちで恋人を奪われた女、不実な夫に苦しむ人妻、三者の不思議な関係が織りなす、かぎりなくやさしく、ときに残酷な愛の物語。

著者紹介

小川 洋子 (オガワ ヨウコ)  
1962年、岡山県生れ。早稲田大学文学部文芸科卒業。88年「揚羽蝶が壊れる時」で第7回海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」で第104回芥川賞を受賞。2004年『博士の愛した数式』が第55回読売文学賞、第1回本屋大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)