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春宵十話

光文社文庫 お40−1

出版社名 光文社
出版年月 2006年10月
ISBNコード 978-4-334-74146-4
4-334-74146-0
税込価格 524円
頁数・縦 225P 16cm
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人の情緒と教育A
人の情緒と教育@
 

書店レビュー 総合おすすめ度: 全2件

  • 〜古くて新しい教育論。頭の前に心を育てろ!〜

    この本は、明治生まれの世界的数学者"岡潔"が、1960年代初め、当時の若者や社会の現状を憂いて書いた教育・人間論です。こう聞くとなんだか難しそうですよね?それが、そうでもないんです。まじめな内容なのに全体にくすりと笑えるユーモアがただよっていて、おもしろい例えを使って大切なことを教えてくれています。例えば、数学をスミレの花にたとえてみたり、人を渋柿の台木に接木した甘柿の芽にたとえたり、智力を読書の際の電燈の光にたとえてみたり・・・。岡先生は"情緒"や"道義心"(=思いやりの心や正義心など)を養う教育の重要性について、くりかえし説いていますが、それは、現代に生きる私たちにとっても、十分に考えさせられる内容でした。この本が世に出て40年以上が経過しました。この本の中で、岡先生は「心配すべきことをちっとも心配しないという傾向がますますひどくなっている」と嘆いています。そろそろ私たちは、本気で心配し、彼の警告に耳を傾け行動しなければいけないのかもしれません。

    (2014年3月1日)

  •  1963年に初めて刊行されてから約40年ぶりの復刊である。著者の岡潔氏は1901年に生まれ、多変数複素解析函数論などの研究で1960年に文化勲章を受章している大数学者である。著者はこれから数学を志す人たちに、「数学の本体は調和の精神である」という数学者の言葉を紹介している。読者の中にも、試験時間ぎりぎりまで懸命に答案を書き上げ、提出が終わってふっと気を抜いているとき、はっと間違いに気づいたことがあるのではないか。著者は語る。本当の智と言うものは、夢中で問題に取り組んでいる最中ではなく、合間の休息時間に過熱した頭を冷やしている際に、向こうからやってくるという。その意味で詰め込み式の教育を批判しているが、その言葉は現在にも変わらず通じている。数学の社会的意義に疑問を抱いている方にとっては、まさに愁眉を開く1冊となるであろう。名著である。(のり)

    (2007年1月1日)

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商品内容

要旨

数学は論理的な学問である、と私たちは感じている。然るに、著者は、大切なのは情緒であると言う。人の中心は情緒だから、それを健全に育てなければ数学もわからないのだ、と。さらに、情操を深めるために、人の成熟は遅ければ遅いほどよい、とも。幼児からの受験勉強、学級崩壊など昨今の教育問題にも本質的に応える普遍性。大数学者の人間論、待望の復刊。

目次

春宵十話
宗教について
日本人と直観
日本的情緒
無差別智
私の受けた道義教育
絵画教育について
一番心配なこと
顔と動物性
三河島惨事と教育
義務教育私話
数学を志す人に
数学と芸術
音楽のこと
好きな芸術家
女性を描いた文学者
奈良の良さ
相撲・野球
新春放談
ある想像
中谷宇吉郎さんを思う
吉川英治さんのこと
わが師わが友

出版社・メーカーコメント

数学は論理的な学問である、と私たちは感じている。然るに、岡潔は、大切なのは情緒であると言う。人の中心は情緒だから、それを健全に育てなければ数学もわからないのだ、と。さらに、情操を深めるために、人の成熟は遅ければ遅いほどよい、とも。幼児からの受験勉強、学級崩壊など昨今の教育問題にも本質的に応える普遍性。大数学者の人間論、待望の復刊 !(解説・有馬朗人)

内容抜粋

本書「はしがき」より

 私は数学なんかをして人類にどういう利益があるのだと問う人に対しては、スミレはただスミレのように咲けばよいのであって、そのことが春の野にどのような影響があろうとなかろうと、スミレのあずかり知らないことだと答えて来た。  その私が急に少しお話しようと思い立ったのは、近ごろのこのくにのありさまがひどく心配になって、とうてい話しかけずにはいられなくなったからである。その結果がこの小冊子となった。

著者紹介

岡 潔 (オカ キヨシ)  
1901年、大阪市生まれ。京都帝国大学卒業。その後フランスに留学し、生涯の研究課題となる「多変数解析函数論」に出会う。後年、その分野における難題「三大問題」に解決を与えた。’49年、奈良女子大学教授に就任。’60年、文化勲章受章。’63年に毎日出版文化賞を受賞した「春宵十話」をはじめ、多くの随筆を著した。’78年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)