レニングラード封鎖 飢餓と非情の都市1941−44
出版社名 | 白水社 |
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出版年月 | 2013年2月 |
ISBNコード |
978-4-560-08268-3
(4-560-08268-5) |
税込価格 | 4,180円 |
頁数・縦 | 418,17P 図版16P 20cm |
商品内容
要旨 |
ヒトラーの包囲攻撃に耐えた900日、市民の犠牲者100万人の内、餓死者80万人。ナチス・ドイツの残忍な「人体実験場」と化した大都市が苦悶に喘ぐ。空襲、厳寒、カニバリズム、死の恐怖に、市民はいかに立ち向かったのか。新史料と生存者への取材により、「英雄と悲劇の物語」の真相に迫る。 |
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目次 |
「ほぼ科学的な方法」―ドイツ軍の進撃 |
おすすめコメント
「悲劇と英雄の物語」の真相に迫る 第二次世界大戦中、ヒトラーのドイツ軍に九〇〇日間包囲攻撃されたレニングラードでは、一〇〇万人の市民が犠牲になった。空襲や疫病による死者も多いが、餓死者は八〇万人と推定されている。なぜ大都市は包囲されたのか? なぜ食糧はたちまち底をついたのか? 包囲が始まるのは、ドイツ侵攻開始から三ヵ月後の一九四一年九月上旬。本書は、攻撃側のマンシュタインらドイツ軍、防衛側のスターリンやジダーノフらソヴィエト当局、そして数多くの一般市民の視点から、時系列に沿って展開する。とりわけ市内の状況が最も絶望的だった、四一年十二月中旬から四二年二月中旬までの三ヵ月間について詳述される。 その間、パンの配給は滞り、肉やその他の食品は闇市場でしか手に入らなかった。市民は飢え、壁紙の裏の膠を煮出して飲み、革ベルトを小さく切って煮て食べた。電気、水道、暖房はすでに停まっていた。市内で大量の餓死が始まる。さらに疫病が蔓延し、墓地に運びきれない死体があふれる。人心の荒廃と飢餓はカニバリズムを生み、凄惨な証言に言葉を失う。 包囲下の極限状態で生と死を分けたのは何か? それは、生きる希望を持ち続けること、守るべき者(家族、子供、友人)をもっていたことだったと、新史料や生存者たちへの取材によって明らかとなる。