• 本

秘教的伝統とドイツ近代 ヘルメス、オルフェウス、ピュタゴラスの文化史的変奏

出版社名 ぷねうま舎
出版年月 2014年2月
ISBNコード 978-4-906791-26-2
4-906791-26-3
税込価格 5,060円
頁数・縦 280,33P 22cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • ロゴスには2つの意味がある。ラツィオ(理性)とヴェルブム(ことば)。デカルト、ニュートン、カントのラツィオ・メタフィジク主流派に対し、もう一方にヴェルブム・メタフィジークの地下水脈があることを看破したのは坂部恵。モデルニテに対するバロック。この秘教的伝統には新プラトン主義、ヘルメス的伝統、オルフェウス派の思想、カバラなどがあるが、胡散臭い研究が多い。簡単にホーリズム、オカルティズムに陥ってしまう。本書はシラー、カント、レッシング、ゲーテのテキストと、その思想の背景にある秘教的伝統の原典をていねいに読み込み、論証した労作である。個々に発表された論文を主旨に従って布置し直し修正してあるので、1冊の本としてまとまっていて読みやすい。「新プラトン主義を学ぶ人のために」(世界思想社)を参照すると一層理解が深まるかもしれない。

    (2014年5月30日)

商品内容

要旨

シラーの詩を導きとして、秘教的・神秘主義的思潮の回廊をめぐる。第9交響曲を飾る歌詞『歓喜に寄せる』と『走れメロス』のオリジナル―シラー作品に織り込まれた、ダークサイドの思想史・文化史とは。オルフェウス教、ピュタゴラス派、ヘルメス主義、ネオプラトニズム、グノーシス、ユダヤ教カバラ…古代の神秘主義的思潮のるつぼから、フリーメーソン、薔薇十字団、メスメリズム、そしてスウェーデンボリへ。ドイツ近代は、秘された宇宙論的ヴィジョンの沃野から何を汲んだのか。

目次

第1章 時代と思想(啓蒙の時代と魔術師たち
シラーの小説『視霊者』と秘密結社 ほか)
第2章 崇高とカバラ的宇宙論(ロンギノスの崇高と天上界への魂の帰昇
レトリカとカドゥケウス ほか)
第3章 シラーの美学と秘教的伝統(「魂の国」対「リヴァイアサン」―シラーの悲劇『ドン・カルロス』
神的人間の没落と二種のアプロディーテ ほか)
第4章 メタモルフォーゼ(イシス
「植物の変身」―ゲーテにおけるイシス幻想 ほか)
第5章 幻想と政治(「天球の音楽」と「霊魂の国」と自動人形―E.T.A.ホフマン
動物磁気 ほか)

著者紹介

坂本 貴志 (サカモト タカシ)  
1969年生まれ。専攻、ドイツ文学。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、立教大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)