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福島に農林漁業をとり戻す

出版社名 みすず書房
出版年月 2015年3月
ISBNコード 978-4-622-07888-3
4-622-07888-0
税込価格 3,850円
頁数・縦 336P 20cm

商品内容

要旨

世界史に刻印される原子力災害に襲われた土地で、人間の生活をどのように復興させるのか。漁業・農業・林業経済学の研究者が現実とかかわり、見出した道筋。

目次

序章 なりわいの再生への視座(文明社会の落とし穴
放射能と向き合わなかった日本社会
空間分断 ほか)
第1章 原発事故と福島(風化する原発事故の記憶
福島県の近代―産業構造の変化
震災以前―日本農業の縮図 ほか)
第2章 地域主体で食と農の再生を(原子力災害からの復興過程
放射能汚染と農作物
「風評」問題 ほか)
第3章 森林汚染からの林業復興(「林」の再生と公共
原発事故と「森林文化」の破壊
原発とともにあった「林業」 ほか)
第4章 海洋汚染からの漁業復興(福島県漁業の概観
福島県漁業の略史
電源開発と原発立地 ほか)
終章 とり戻すとは(農山漁村と阻止の関係を変える
科学的知見を生産現場に
すべての人が復興の当事者)

おすすめコメント

現在、福島の米や野菜から放射能はほとんど検出されず、海水の放射能含有量は事故前に戻っている。農・林・漁業の経済学を専門とする研究者三人が福島なりわいの再生という難問に取り組んだ。放射性物質は循環するため、農・林・漁業をつなぐ視点は欠かせない。県産米全袋のセシウム検査。原発汚染水問題と漁業再開の行方。集落の維持と雇用創出。自然となりわいの復興への道筋を、科学的知見に基づき提示する。

著者紹介

濱田 武士 (ハマダ タケシ)  
1969年大阪府吹田市生まれ。東京海洋大学海洋科学部准教授。北海道大学水産学部卒。北海道大学大学院水産学研究科博士後期課程修了。博士(水産学)。専門は漁業経済学、地域経済論、協同組合論。漁業・漁村で培った視点を経済と人間の問題に拡げ、なりわいの復興を考究する。福島県地域漁業復興協議会委員、水産政策審議会特別委員、釜石市復興まちづくり委員会アドバイザー、読売新聞読書委員などを務める。著書に『伝統的和船の経済―地域漁業を支えた「技」と「商」の歴史的考察』(2010年、農林統計出版、漁業経済学会奨励賞受賞)『漁業と震災』(2013年、みすず書房、漁業経済学会賞・日本協同組合学会学術賞受賞)など
小山 良太 (コヤマ リョウタ)  
1974年東京都板橋区生まれ。福島大学経済経営学類教授。同大学うつくしまふくしま未来支援センター副センター長。北海道大学大学院農学研究科博士後期課程修了。博士(農学)。専門は農業経済学、協同組合学、地域政策論。地産地消、六次産業化の研究を通して協同組合間協同(地産地消ふくしまネット)や地域づくり(街なかマルシェ)の実践をすすめる。東日本大震災後は農地の汚染マップ、水稲試験栽培など復興事業に尽力。日本学術会議連携会員、福島県地域漁業復興協議会委員など
早尻 正宏 (ハヤジリ マサヒロ)  
1979年広島県呉市生まれ。山形大学農学部准教授。北海道大学教育学部卒、北海道大学大学院農学研究科博士後期課程修了。博士(農学)。専門は林業経済学、地域経済学、協同組合学。東日本大震災後の福島で森林・林業・山村問題を調査するほとんど唯一の研究者。全国各地でフィールドワークを重ね、環境政策と雇用政策を統合した地域開発のあり方を構想する。福島大学非常勤講師、ふくしま中央森林組合「21世紀の森プロジェクト委員会」委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)