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フロイトとアンナ・O 最初の精神分析は失敗したのか

出版社名 みすず書房
出版年月 2015年10月
ISBNコード 978-4-622-07938-5
4-622-07938-0
税込価格 6,050円
頁数・縦 220,35P 22cm

商品内容

要旨

『ヒステリー研究』において提示された症例アンナ・Oの治療は本当に失敗だったのか?数々の治療記録、関係者の書簡など膨大な資料を検証し、精神分析学の礎となった症例の真実を解き明かす。

目次

緒論 アンナ・O症例の来歴
第1部 症例の展開(一八八二年の症例報告
その後の証言
症例研究の出版
フロイトの説明―再構成
防衛と性愛
転移とファウスト的命題)
第2部 伝説の生成(伝説の誕生―アーネスト・ジョーンズ
伝説の発展―アンリ・エランベルジェ
伝説の成熟―諸説の派生)

おすすめコメント

「治療中断の一年後、ブロイアーはフロイトに、彼女はすっかり錯乱している、彼女は死んだほうがよいのではないか、そうすれば苦しみから解放されるのにとさえ思う、と打ち明けた」 ヨーゼフ・ブロイアーとジークムント・フロイトの『ヒステリー研究』(1895)において提示された「症例アンナ・O」。この症例は、のちにアーネスト・ジョーンズによって書かれたフロイトの伝記が発表されて以来、「『ヒステリー研究』の記述にあるような輝かしい成功ではなく、治療は失敗だった」と見なされるようになった。ジョーンズによれば、アンナはブロイアーによる治療ののち、重篤なモルヒネ依存に苦しみ、毎日幻覚状態に陥っていたという。そしてこの事実は後年、治療後のアンナの足取りを追った医学史家アンリ・エランベルジェの研究によって追認されることとなるのである。はたして、症例アンナ・Oの治療は本当に失敗だったのか? 本書は、『ヒステリー研究』の治療記録、アンナの入院先の医師による記録、関係者の書簡、追跡研究などの膨大な資料を掘りおこし、その治療結果の真実に迫るものである。精神分析学の始まりとなった症例の謎が、いま解き明かされる。

著者紹介

スクーズ,リチャード・A. (スクーズ,リチャードA.)   Skues,Richard A.
1953‐。ロンドン・メトロポリタン大学社会学部講師。専門は精神分析史・フロイト論
岡元 彩子 (オカモト アヤコ)  
臨床心理士。元成城墨岡クリニック分院
馬場 謙一 (ババ ケンイチ)  
精神科医。東京大学文学部独文科、慶應義塾大学医学部卒業。現在、南八街病院、上諏訪病院勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)