• 本

BB/PP

出版社名 講談社
出版年月 2016年6月
ISBNコード 978-4-06-220031-8
4-06-220031-7
税込価格 1,836円
頁数・縦 252P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 表題作は、純愛ホラーの傑作!

    《世界のことも異性のことも何も知らない、真っ白なカンバス地のような女。BBが欲しいのはそれだった。》二十一世紀初頭から七、八十年ほど経った近未来、沙汰のかぎりを尽くし、生身の女に飽きてしまった男が買ったのは、タイレル社製ヒト型人工フェミニン擬體F-3000というAIを持った女だった。男は女をPP(Purple Pubes)と呼び、自身をBB(Blue Beard)と呼ばせた。研ぎ澄まされた文章の中に、狂気的な愛とかすかな甘酸っぱさが宿る純愛ホラーの傑作……「BB/PP」、フランクフルトを発つ直前に〈詩人〉から、カレル橋(チェコ共和国にある橋の名称)のたもとで会おうと短いメールを受け取った〈官僚〉だったが、そこに現れたのは一緒に会う約束をしていた〈探偵〉だけだった。〈官僚〉を案内する〈探偵〉は、〈詩人〉の会話を避けているようで……。読者を幻惑するような独特な雰囲気を持つ……「四人目の男」。
    バラエティに富んだ9篇の短編が並んでいますが、そのほとんどの作品に共通するものとして《老い》と《記憶》があります。切なかったり、残酷だったりと作品によって色々ですが、余韻の残る作品ぞろいです。
    まずことばの力に圧倒されてしまいます。「石蹴り」という短編の中に、《おとなになったわたしは紙のうえにことばを書きならべてそれを売るというさして面白くもない商売をするようになった。》という記述があります。もちろんフィクションである以上、これを著者本人の声だとことば通りに判断してはいけませんが、その《面白くもない商売》を選んでくれたことに読者は感謝しなきゃいけませんね。紙のうえに書きならべられたことばによって描き出されたその世界はあまりにも凄まじい。すごいですよ。この作品集は。

    (2016年7月5日)

商品内容

要旨

人工知能を持つ最上級の美しい女“ひと型擬體”を手にいれた現代の青髭公を描く表題作の他、またいとこの姉妹と過ごした12歳の夏の夜のひとときを回想する『石蹴り』、病に倒れた旧友を見舞い「記憶」の意味について語り合う『手摺りを伝って』など、9篇を収録。

おすすめコメント

この女ならおれは愛せるかもしれない──人工知能搭載の最上級の“ヒト型擬體“を余生の伴侶として手にいれた、現代の青髭公を描く衝撃の表題作他、またいとこの姉妹と過ごした12歳の夏の夜のひとときを回想する『石蹴り』、病に倒れた旧友を見舞い「記憶」の意味について語り合う『手摺りを伝って』 など、魅惑の9篇を収録する芥川賞作家の傑作小説集。目次 BB/ PP 石蹴り 手摺りを伝って 四人目の男 ミステリオオ−ソ 水杙 ツユクサと射手座 薄ぼんやりと、ゆらりと二つ T字路の時間

著者紹介

松浦 寿輝 (マツウラ ヒサキ)  
1954年東京生まれ。詩人、小説家。東京大学名誉教授。88年、詩集『冬の本』で高見順賞を受賞。95年『エッフェル塔試論』で吉田秀和賞、96年『折口信夫論』で三島由紀夫賞、2000年『知の庭園―19世紀パリの空間装置』で芸術選奨文部大臣賞、同年「花腐し」で芥川賞、05年『あやめ鰈ひかがみ』で木山捷平文学賞、同年『半島』で読売文学賞、09年、詩集『吃水都市』で萩原朔太郎賞、14年、詩集『afterward』で鮎川信夫賞、15年『明治の表象空間』で毎日芸術賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)