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蜜蜂と遠雷

出版社名 幻冬舎
出版年月 2016年9月
ISBNコード 978-4-344-03003-9
4-344-03003-6
税込価格 1,944円
頁数・縦 507P 20cm

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書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • この臨場感。ほんとにピアノコンクールを体験しているみたいだ。

    蜂の羽音、雨がトタン屋根を打つ音、それすらも旋律に聴こえる者がいる− 。ピアニスト達がプロを目指し技量を競うコンクール。そのひとつである芳ヶ江国際ピアノコンクール数日間の物語。本コンクールは世界レベルのもので、登場する主要人物たちは皆、才能に恵まれた音楽家達だ。伝説のピアニストであるホフマンの最後の弟子であり、音楽界に彼が生前、遺言のような紹介状とともに送り込んだ「ギフト(作中表現)」である無名の少年ピアニスト風間塵が物語のリード役となるのだが、天才少女であった過去を持つが母の死をきっかけにクラシックから身を引いて長いブランクのある亜矢、コンテスト審査員の愛弟子である才能豊かで既に音楽業界で定評のあるマサル、楽器店に勤めプロになることを諦めていた28歳の明石、この4人が主要人物となる。ただ本作の妙は、その他のコンテスタント(出場者)達、その実力を見極める審査員、多数の観客者、それらの心の動き、会場の雰囲気を伝える描写(例えば、ピアノの調律のシーン。コンテスタントの出したい音を調律師との間で演奏前に確認をする様などはほとんどの読者を驚かせるだろう)にあり、それらがつぶさな筆致で描かれ、読者をコンテスト会場の中にいるような臨場感に浸らせるところにある。さらに素晴らしいのは、作中で奏でられる音楽の、本来不可能であるはずの言語表現にある。一歩引くならば文章が音楽を想わせることに成功しているということ。その音楽的な文章に乗り、コンテスタント、その身近な応援者、審査員、一般の観客等、コンテストに関わる全ての人がそれぞれのポジションごとの熱を持ち、コンテストの全体像が浮かび上がる。物語が進むにつれコンテストという怪物がその呼吸ごとに膨らみ縮む。読者を含めて彼ら全員がその中で一喜一憂するという具合である。ホフマンの遺言となった「音楽を外に連れ出す」という言葉が作品の謎かけになっているのだが、塵の演奏中に亜矢の心の中で彼と会話するという場面がある。完全にファンタジーなのだが、もしかしたらそうしたやり取りができる能力がある者達が実際にいるのではないかというような錯覚に読者は陥る。「音楽の神様に愛される」ー 物語に出てくるこの言葉が作品全体を覆う。読者をぐいぐい惹きつける。

    (2017年12月5日)

商品内容

文学賞情報

2016年 第156回 直木賞受賞
2017年 第14回 本屋大賞受賞

要旨

私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。著者渾身、文句なしの最高傑作!

おすすめコメント

〜文字を読んでいるはずなのに、演奏が聞こえるような気持ちにさせてくれる〜 ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。 著者の恩田陸さんは、実際にコンクールに通い「構想12年、取材11年、執筆7年」をかけて書き上げました。 個性あふれる魅力的な登場人物や、ドラマティックなストーリーなど、魅力が詰まった作品ですが、 中でも演奏シーンの臨場感は、圧巻の一言。 500ページ超、二段組みの大作ということを忘れ、描かれている物語にグイグイと引き込まれ、 ページをめくる手がとまらなくなる一冊です。 当代の著名作家が選ぶ直木賞と、全国の書店員が選ぶ本屋大賞を史上初めてダブル受賞。 本のオーソリティーがこぞって絶賛した物語を、ぜひご一読ください。

出版社・メーカーコメント

俺はまだ、神に愛されているだろうか? ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。 著者渾身、文句なしの最高傑作! 3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?

著者紹介

恩田 陸 (オンダ リク)  
1964年、宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞を受賞。06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞を受賞。07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)