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33個めの石 傷ついた現代のための哲学

角川文庫 も30−1

出版社名 KADOKAWA
出版年月 2016年12月
ISBNコード 978-4-04-104626-5
4-04-104626-2
税込価格 792円
頁数・縦 221P 15cm

商品内容

要旨

32人が殺された米国の銃乱射事件。犠牲者を悼む石に33個めを加えた人がいた。それは自殺した犯人への追悼である。犯人も現代社会の被害者だと、われわれは追悼できるだろうか。敵と味方の対立を無効化し、報復の連鎖を超越していく物語を紡げるだろうか。赦し、自殺、「人道的な」戦争、差別と偏見…私たちの日常にある、身を引き裂かれるような痛みと希望を気鋭の哲学者が思索した、魂のしずくのような柔らかな哲学エッセイ。

目次

1(赦すということ
自殺について
33個めの石 ほか)
2(監視カメラ
「君が代」と起立
男らしさ、女らしさ ほか)
3(追悼の意味
つぐないの花束
「可能世界」を考える ほか)

おすすめコメント

報復の連鎖の時代における、かすかな希望は確かにある。人は傷つけ合う、その先を見つめた、柔らかな哲学エッセイ。米国・バージニア工科大学で起こった銃乱射事件。32人の学生、教員が殺され、犯人の学生は自殺した。キャンパスには犠牲者を悼む32個の石が置かれたが、人知れず石を加えた学生がいた。33個めの石。それは自殺した犯人の追悼である。石は誰かによって持ち去られた。学生はふたたび石を置いた。それもまた、持ち去られた。すると、別の誰かが新しい石を置いた。「犯人の家族も、他の家族とまったく同じくらい苦しんでいるのです」。犯人も現代社会の被害者であるという追悼を、われわれは出来るだろうか。敵と味方の対立を無効化し、「やられたらやり返してやる」という報復の連鎖を超越していく物語を紡げるだろうか。単行本刊行後、東日本大震災を経て発表された5編と書き下ろしを加えた文庫特別版。社会は変わりようがない、人々が傷ついたとしても仕方がないというのっぺりとした社会意識を、食い破ることのできる希望。それはまだ小さな流れではあるけれども、世界のあちこちで少しずつ開こうとしている柔らかなつぼみなのだ。

著者紹介

森岡 正博 (モリオカ マサヒロ)  
1958年生まれ。哲学者。大阪府立大学教授を経て、早稲田大学人間科学部教授。大学では哲学・倫理学を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)