• 本

人質の経済学

出版社名 文藝春秋
出版年月 2016年12月
ISBNコード 978-4-16-390580-8
4-16-390580-4
税込価格 1,925円
頁数・縦 308P 20cm

商品内容

要旨

すべての発端は9・11後にアメリカで成立した愛国者法だった。ドル取引のすべてを金融機関は米政府に届けることになり、コロンビアの麻薬組織は北アフリカのユーロ決済ルートを新たに開拓。運搬役となったイスラム系犯罪組織はやがてそのルートを使い、誘拐に手を染め、そこで手に入れた身代金を元手にジハーディスト組織が誕生する。北アフリカからソマリア、イラク、シリアへと拡がったジハーディスト組織の錬金術。誘拐交渉人、人質、政府高官らに調査して浮かび上がる「テロリズムの経済」。

目次

はじめに 誘拐がジハーディスト組織を育てた
スウェーデンの偽イラク人
すべての始まり9・11愛国者法
誘拐は金になる
人間密輸へ
海賊に投資する人々
密入国斡旋へ
反政府組織という幻想
ある誘拐交渉人の独白
身代金の決定メカニズム〔ほか〕

おすすめコメント

◆トランプ後の世界に必読の一冊◆ 「恐ろしい本。人間が、単なる商品として取引される実態を克明に描く」 解説:池上彰(ジャーナリスト・名城大学教授) 交渉人、誘拐専門の警備会社、囚われた人質、難民らによって明らかになる事実。・一番金払いが良いのはイタリア政府。それゆえここ15年ほどの間に大量のイタリア人が誘拐されている ・助けたければ誘拐直後の48時間以内に交渉せよ ・武力による救出の3回に1回は失敗に終わり、人質または救出部隊に死者が出る ・10年前、200万ドル払えばイラクで人質は解放された。今日ではシリアでの誘拐で1000万ドル以上支払う ・誘拐された外国人は出身国によって、助かる人質と助からない人質に分けられる ・誘拐組織は難民たちの密入国斡旋に手を拡げ、毎週数万人をヨーロッパの海岸に運び、毎月一億ドル近い利益を上げている

著者紹介

ナポリオーニ,ロレッタ (ナポリオーニ,ロレッタ)   Napoleoni,Loretta
1955年ローマ生まれ。歴史上初めてテロリストが国家をつくることに成功するかもしれないとイスラム国に早くから注目。2015年『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』(文藝春秋)がベストセラーになり、話題になった。ジョンズ・ホプキンス大学で国際関係と経済学の修士号、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで哲学修士号を取得。ハンガリー国営銀行に勤務し、通貨フォリントの兌換通貨化を達成。マネーロンダリングとテロ組織のファイナンスに関する研究の第一人者であり、PLOやIRAといった国家形態をとるにいたったテロ組織などを研究した『Terror incorporated:tracing the dollars behind the terror networks』(2005)が出世作
村井 章子 (ムライ アキコ)  
翻訳家。上智大学文学部卒業
池上 彰 (イケガミ アキラ)  
1950年長野県生まれ。慶應義塾大学卒業後、NHK入局。記者やキャスターを歴任し、2005年に退職。以後、フリージャーナリストとして幅広く活動。名城大学教授。東京工業大学特命教授。著書多数。中東には度々取材に入り、その歴史的背景から現在の出来事をわかりやすく伝えている。タブーを恐れない政治家へのインタビューと視聴者目線の解説で、選挙報道に新たな地平を拓いたことが評価され、「池上彰とテレビ東京選挙特番チーム」として2016年菊池寛賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)