• 本

彼方の友へ

出版社名 実業之日本社
出版年月 2017年11月
ISBNコード 978-4-408-53716-0
4-408-53716-0
税込価格 1,836円
頁数・縦 445P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • うつくしい結末に、思わず、涙が……。

     90歳を超える佐倉ハツのいる老人施設に届けられた黒い紙箱。赤いリボンに結ばれたその箱をほどくと、なかにはチューリップやヒマワリ、スミレなどの花が一輪ずつ色鮮やかに描かれたたくさんの小さなカードが入っていた。《フローラ・ゲーム》。それは波津子(ハツ)にとって、とても懐かしいものだった。波津子の物語は、昭和十二年から始まる。少女雑誌『乙女の友』に憧れた少女はやがて『乙女の友』で働くようになり……。憧れだったものは、すぐそばにある現実へとかわり、いくつもの困難に悩み苦しみながらも成長してゆく。
     戦争の昏い影が付き纏う時代を駆け抜けた少女の成長の物語は、決して幸福に満ちたものではなく、つねに切実さをともなっています。悲惨さも容赦なく描かれています。しかし何度くじけそうになっても前を向こうとする登場人物たちの姿には、希望を感じます。
     本書からは、そして波津子からは、必死で走った者からしか嗅ぐことのできないにおいがしました。そのにおいを好ましく感じると同時に、羨ましい、とも思いました。小さな嫉妬が胸を掠めるほど、主人公の生き方は魅力的でした。主人公だけではなく、本書には印象に残る登場人物

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    (2017年12月1日)

商品内容

要旨

平成の老人施設でまどろむ佐倉波津子に、赤いリボンで結ばれた小さな箱が手渡された。「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」。そう印刷された可憐な箱は、70余年の歳月をかけて届けられたものだった。昭和初期から現在へ。雑誌の附録に秘められた想いとは―。

著者紹介

伊吹 有喜 (イブキ ユキ)  
1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)で第3回ポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)