• 本

口笛の上手な白雪姫

出版社名 幻冬舎
出版年月 2018年1月
ISBNコード 978-4-344-03245-3
4-344-03245-4
税込価格 1,620円
頁数・縦 229P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 私が本書とともに過ごした時間は、間違いなく至福に満ちていた

    《その音量はごく小さかった。にぎやかな音が天井に響く浴場で、口笛を聞き取っている大人はおそらく一人もいないだろうと思われた。ただ小母さんが唇をすぼめているのを見て、口笛を吹いているのかもしれないと推察するに過ぎなかった。小母さんの口笛を聴けるのは、ついこの前生まれたばかりの、まだはかない鼓膜しか持っていない赤ん坊だけだった。》
     静かに紡がれた言葉が胸の内にとけ込み、《共感》という安易な褒め言葉では満足できない次元で、大切な一冊になってゆく。『口笛の上手な白雪姫』は私にとってそんな作品集でした。必要以上に説明過多になる、というような過剰さを一切持たない声(言葉)を拾い上げていく内に、あたたかい気持ちで満たされる。その人の声の力を信じたくなるような作品集だ。ときおり残酷さを織り交ぜながら、しかしとても優しい物語だ(優しい物語ばかりではなく、不安や恐怖を感じるような物語も混じっていて、バラエティに富んだ作品集になっています。特に「仮名の作家」はとても怖い。こういうタイプの作品が好きな私にとっては、嬉しい驚きでしたが……)。そしてその優しさは決して押し付けがましいものではなく、距離感がとて

    …続きを見る

    (2018年2月5日)

商品内容

要旨

劇場で、病院で、公衆浴場で―。“声”によってよみがえる、大切な死者とかけがえのない記憶。その口笛が聴こえるのは、赤ん坊だけだった。切なく心揺さぶる傑作短編集。

著者紹介

小川 洋子 (オガワ ヨウコ)  
1962年、岡山県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。88年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。91年「妊娠カレンダー」で芥川賞を受賞。2003年刊『博士の愛した数式』がベストセラーになり、翌年、同作で読売文学賞と本屋大賞を受賞。同じ年『ブラフマンの埋葬』が泉鏡花文学賞、06年『ミーナの行進』が谷崎潤一郎賞、13年『ことり』が芸術選奨文部科学大臣賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)