• 本

ディレイ・エフェクト

出版社名 文藝春秋
出版年月 2018年2月
ISBNコード 978-4-16-390820-5
4-16-390820-X
税込価格 1,566円
頁数・縦 178P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 不条理な騒動が、深い哀しみを持った物語へと変わっていく

    《わたしは婿養子なので、実際は義理の祖母にあたる。その義理の祖母は娘より若い七歳で、故人で、半分ほど透け、身体のうしろ半分は液晶テレビにめりこんでいる》
     2020年現在と戦中の1944年が、突如、重なり合う。そんな《ディレイ・エフェクト》と名付けられた奇妙な出来事に襲われた東京。芥川賞候補になった表題作は、そんな不条理な騒動が、深い哀しみを持った物語へと変わっていく傑作です。続く「空蝉」はわずかな活動期間で収益もなく、信者のようなファンがごくわずかいるだけのバンド〈ナイト・クラウン・クイーン、そしてキング〉の元メンバーであり、周囲の人間に強い印象を残してこの世を去った六ノ宮の死を、少なからずバンドの活動に関わっていた《わたし》が長い月日を経て周囲の人物たちに話を聞いていくという物語。明らかになる意外な《動機》が印象的な作品です。そして最後の作品が、〈鳥祖神社〉の神様を語り手に男女四人の人間模様を滑稽に、しかし時に切なく描く「阿呆神社」。
     肌触りの異なる作品が三つ並んでいて、とてもバラエティに富んでいます。特に表題作は印象的で、是非とも多くの人に読んでもらいたい作品です。短い分量

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    (2018年2月22日)

商品内容

要旨

茶の間と重なりあったリビングの、ソファと重なりあった半透明のチャブ台に、曾祖父がいる―。戦時下の日常の光景が、二〇二〇年の現在と重なっている!大混乱に陥った東京で、静かに暮らしている男に、昭和二十年三月十日の下町空襲が迫っている。曾祖母は、もうすぐ焼け死ぬのだ。わたしたちは幻の吹雪に包まれたオフィスで仕事をしながら、静かにそのときを待った―。

おすすめコメント

いまの東京に重なって、あの戦争が見えてしまう――。 茶の間と重なりあったリビングの、ソファと重なりあった半透明のちゃぶ台に、曾祖父がいた。その家には、まだ少女だった祖母もいる。 昭和十九年の戦時下が、2019年の日常と重なっているのだ。大混乱に陥った東京で、静かに暮らしている主人公に、昭和二十年三月十日の下町空襲が迫っている。少女のおかあさんである曾祖母は、もうすぐ焼け死んでしまうのだ。 わたしたちは幻の吹雪に包まれたオフィスで仕事をしながら、落ち着かない心持ちで、そのときを待っている……。 表題作「ディレイ・エフェクト」の他、「空蝉」と「阿呆神社」を収録した驚愕の短篇集。

著者紹介

宮内 悠介 (ミヤウチ ユウスケ)  
1979年、東京に生まれる。早稲田大学第一文学部卒。2010年に「盤上の夜」で第1回創元SF短編賞の最終候補となり、選考委員特別賞(山田正紀賞)を受賞。12年、単行本デビュー作の『盤上の夜』が直木賞候補、翌年に日本SF大賞を受賞。13年、(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞を受賞。14年、『ヨハネスブルグの天使たち』が日本SF大賞特別賞を受賞。17年、『彼女がエスパーだったころ』で吉川英治文学新人賞を受賞。同年、『カブールの園』が三島由紀夫賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)