• 本

メルカトル

角川文庫 な52−5

出版社名 KADOKAWA
出版年月 2018年2月
ISBNコード 978-4-04-106166-4
4-04-106166-0
税込価格 562円
頁数・縦 190P 15cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 『メルカトル』という表紙の《地図》を開いて、旅に出る

     とある港町の運河で酔っぱらいの船員に拾われ、救済院で孤児として育った十七歳のリュス・カルヴァート。自身の名前の意味を《排水管のゴミ虫》と頑なに信じるリュスは、学費を稼ぐ目的で、港町ミロナにある《ミロナ地図収集館》で働いていた。そんな生い立ちから自らの感情を封じこめようとする性質を持つリュスはある時、彼に敵意を向け、嫌がらせを行っていた利用者の少年から「祖父からの正式な書状」と言われ、奇妙な書状と同封された一枚の地図を受け取る。
     ときおり決められた道を逸れて、道に迷いたくなる。そんな風な考えを持つ人は決してすくなくない、と思いますが、年齢を経るに連れて薄まっていく感覚でもあると思います。どこか郷愁を感じさせるような世界の中を生きる少年の冒険と人々の繊細な人間関係を綴った本書は、好奇心に駆られて道から逸れることの愉しさを自覚せずに知っていた《あの頃》に読者を引き戻してくれるような作品です。ノスタルジックな雰囲気の冒険譚でありながらも、その冒険の内容や登場人物たちのやり取りはとても個性的です。少年と女性たちの不思議な物語は、謎(その答えはやや唐突には思えたものの)を解き明かした後、幻想

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    (2018年3月7日)

商品内容

要旨

港町ミロナの地図収集館で働き始めたリュスは救済院育ちの17歳。感情を封じて慎ましく暮らす彼のもとにメルカトルなる人物から一通の手紙が届いたその夜、アパートに見知らぬ女が立て続けに訪ねてくる。以来、彼の周辺で不可解な事件が次々と起こり、リュスの平穏な日々は大きく転回し始める―謎多き女たち、変死した大女優、紅い封鑞つきの手紙…やわらかな心をくすぐるロマンチックな冒険活劇。

おすすめコメント

かじかんだ心がじんわりほどける、ボーイ・ミーツ・ガール! 化石のような地図に囲まれて、静かでつつましい日々を送っていた孤児のリュスのもとに謎の地図が届いたときから、彼のまわりで不可思議な事件が次々と起き始め――

著者紹介

長野 まゆみ (ナガノ マユミ)  
東京都生まれ。1988年『少年アリス』で文藝賞を受賞しデビュー。2015年、『冥途あり』で泉鏡花文学賞、野間文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)