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ショスタコーヴィチとスターリン

出版社名 慶應義塾大学出版会
出版年月 2018年4月
ISBNコード 978-4-7664-2499-7
4-7664-2499-9
税込価格 6,380円
頁数・縦 525,15P 20cm

商品内容

要旨

ソヴィエト社会主義時代、独裁者スターリンにたいし抵抗とも服従ともいいがたい両義的な態度をとったショスタコーヴィチ。彼が生み出した作品もまた、時にプロパガンダ風であり、時に反体制的であるような二重性を帯びていた。著者ヴォルコフは、ショスタコーヴィチ再評価の機運をつくった前著『ショスタコーヴィチの証言』刊行四半世紀を経て、歴史的裏付けをとりつつ、独自の手法により作曲家の実像にさらに迫ろうと試みている。本書では、内面的なジレンマを抱えながらも、スターリンと直接わたりあうショスタコーヴィチを、ロシア史上の独特の人格、聖愚者に見立て、権力者との対峙の仕方を詳細に分析しているのである。スターリンは冷酷な顔をもつと同時に、芸術を愛する独裁者でもあった。しかし単に芸術家を庇護したわけではなく、彼らを国家的プロパガンダに利用し、弾圧した。パステルナーク、マンデリシターム、ブルガーコフ、エイゼンシュテイン、ゴーリキー、プロコーフィエフ…同時代の芸術家との関わりのなかで、ショスタコーヴィチは全体主義と芸術の相克をどのように乗り越えようとしたのか、スリリングに描き出していく。

目次

プロローグ 皇帝と詩人
第1章 幻影と誘惑
第2章 一九三六年―原因と結果
第3章 一九三六年―スフィンクスの目前で
第4章 皇帝の慈悲
第5章 戦争―憂慮と大勝利
第6章 一九四八年―「あらゆる場所に目を光らせ、敵を根絶せよ!」
第7章 断末魔の痙攣と皇帝の死
エピローグ スターリンの陰に

おすすめコメント

ショスタコーヴィチは、全体主義と芸術の相克をどのように乗り越えていったのか。スターリンに対する、ロシア芸術家たちの血の滲むような戦いを、貴重な証言資料とともにドキュメンタリータッチで描く。

著者紹介

ヴォルコフ,ソロモン (ヴォルコフ,ソロモン)   Volkov,Solomon
1944年、旧ソ連タジク共和国生まれ。アメリカを拠点として活躍する音楽学者・ロシア文化史家・ジャーナリスト。1959年、レニングラード音楽院付属特別音楽学校入学。レニングラード音楽院卒業後、雑誌『ソヴィエト音楽』の編集員を務める。1976年、アメニカに亡命
亀山 郁夫 (カメヤマ イクオ)  
名古屋外国語大学学長。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学
梅津 紀雄 (ウメツ ノリオ)  
工学院大学教育推進機構非常勤講師。東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学
前田 和泉 (マエダ イズミ)  
東京外国語大学大学院准教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了
古川 哲 (フルカワ アキラ)  
東京外国語大学・共立女子大学非常勤講師。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)