• 本

ひと

出版社名 祥伝社
出版年月 2018年4月
ISBNコード 978-4-396-63542-8
4-396-63542-7
税込価格 1,620円
頁数・縦 296P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全2件

  • 喪失から始まる青年の物語

     どんな時に《ひと》のことを想うかと考えた時、私は孤独な時だと思った。あれば煩わしく、無ければ恋しい。自分勝手な考えだと思うが、そういう厄介な感情を含んだものが、人間関係、《ひと》と《ひと》の繋がりなのかもしれない。
     本書は喪失から始まる青年の物語です。二十歳で母を亡くし大学を辞め、孤独になった青年は、色々な《ひと》に出会う。《ひと》のことを考え、《ひと》のことを想う。喪ったからこそ出会えた人々とのやりとりが、青年の変化や成長へと繋がっていく。《ひと》を想うことを描いた小説……一歩間違えれば空虚になりかねないテーマだが、本書にそんな虚しさはない。必要以上に悲劇が誇張されることはないし、主人公の孤独な青年の性格にも好感が持てます。誤解を恐れずに言えば本書は斬新や異色と呼ばれる物語ではなく、奇を衒ったところの無いオーソドックスな物語だ。そんな真っ直ぐな物語に心を打たれました。古い親友に久し振りに再会したような懐かしさと嬉しさが込み上げてきました。

    (2018年12月24日)

  • 周囲の人が優しければ、こんなに救われるんだなぁ!

    不幸にも両親を亡くし、天涯孤独となってしまった聖輔。なけなしの小銭でコロッケを買おうとしたところ、それを譲ってしまうことから、彼の人生に転機が訪れる。心優しい人たちに囲まれ、前を向いて進んでいく姿に、読者の涙腺は崩壊必死。
    『本の雑誌』2018年上半期第2位に選ばれた、珠玉の一冊です。

    (2018年8月29日)

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出版社・メーカーコメント

たった一人になった。でも、ひとりきりじゃなかった。両親を亡くし、大学をやめた20歳の秋。見えなくなった未来に光が射(さ)したのは、コロッケを1個、譲(ゆず)った時だった―――。激しく胸を打つ、青さ弾(はじ)ける傑作青春小説!そんな君を見ている人が、きっといる――。母の故郷の鳥取で店を開くも失敗、交通事故死した調理師だった父。女手ひとつ、学食で働きながら一人っ子の僕を東京の私大に進ませてくれた母。――その母が急死した。柏木聖輔(かしわぎせいすけ)は20歳の秋、たった一人になった。全財産は150万円、奨学金を返せる自信はなく、大学は中退。仕事を探さなければと思いつつ、動き出せない日々が続いた。そんなある日の午後、空腹に負けて吸い寄せられた商店街の惣菜(そうざい)屋で、買おうとしていた最後に残った50円のコロッケを見知らぬお婆(ばあ)さんに譲った。それが運命を変えるとも知らずに……。