• 本

三ノ池植物園標本室 上

眠る草原

ちくま文庫 ほ26−1

出版社名 筑摩書房
出版年月 2018年12月
ISBNコード 978-4-480-43566-8
4-480-43566-2
税込価格 734円
頁数・縦 268P 15cm
シリーズ名 三ノ池植物園標本室

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 永遠に浸っていたいような静謐な世界

     過剰な労働と雰囲気の悪さを持つ会社を退職した大島風里は、あてもなくいつもと逆の電車に乗り、あてもなく歩いた先で鬱蒼とした庭の、廃屋と勘違いしそうな蔦に覆われた家を見つける。失業中であることや改装が必要なことにためらいを感じながらも、その家に強く惹かれた風里は、その家を借り、そこで住むことになる。そして植物園の研究棟でのアルバイトも決まり、新しい生活の中で新しい人間関係を形成していく。
     特殊なお仕事をテーマにした人生の指針となるような小説、日本の美しい自然とそこで生きる人々の人間模様を描いた小説、土地の記憶をめぐる切ない幻想譚……そういった要素がある小説にも関わらず、安易にその表現だけで小説全体を語ってしまうことにためらいを感じました。それはきっとその言葉で本書を敬遠してしまう人にも手に取って欲しかったからだと思います。
     恋愛や仕事、人生観、死生観……いくつものテーマがゆるやかに重なり合っていき、読みづらくならないまま重厚な物語へとなっていきます。美しい文章の連なりに心が満ちてくる。すこし臭すぎるかもしれませんが、永遠に浸っていたいような静謐な世界に足を踏み入れさせてもらったこ

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    (2018年12月24日)

商品内容

要旨

職場で心身をすり減らし、会社を辞めた風里。散策の途中、偶然古い一軒家を見つけ、導かれるようにそこに住むことになる。近くの三ノ池植物園標本室でバイトをはじめ、植物の標本を作りながら、苫教授と院生たち、イラストレーターの日下さんや編集者の並木さんなど、風変わりだが温かな人々と触れ合う中で、刺繍という自分の道を歩みだしていく―。

出版社・メーカーコメント

植物の刺繍に長けた風里が越してきた古い一軒家。その庭の井戸には芸術家たちの悲恋の記憶が眠っていた――。『恩寵』完全版を改題、待望の文庫化!

著者紹介

ほしお さなえ (ホシオ サナエ)  
1964年東京都生まれ。作家・詩人。1995年『影をめくるとき』が第38回群像新人文学賞優秀作に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)