• 本

木曜日の子ども

出版社名 KADOKAWA
出版年月 2019年1月
ISBNコード 978-4-04-102832-2
4-04-102832-9
税込価格 1,836円
頁数・縦 419P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 鬱屈とした青春を《父親》の視点にこだわって描いた親子小説

     絶望に打ちひしがれそうになるような暗い世界をただただ虚しさを抱えて歩く。その果てに射す光はちいさく、あまりにも弱々しい。しかしその光が強く焼きついて、いつまでも心から離れない。
     もしも自分の息子の通う中学校でいじめの話を聞いたとして、わが子を被害者の側に置くか、加害者の側に置くか。作中、語り手が他の登場人物から、こんな風に問いかけられる場面があります。この時、語り手は、たとえ頭の片隅にでも息子を加害者の側に置けば、信頼が消え、幸せな暮らしが砕け散ると考える。妻の連れ子である十四歳の息子と妻の再婚相手である《私》には、他の「父親」が持つ十四年分の積み重ねが無いことに、口には出さないが、気後れを感じている。そのことが物語のいたるところから、はっきりと伝わってくる。だからこそ彼は過剰に「父親」であることを意識する。しかし、かつて九名の同級生の命を奪った少年、上田祐太郎に似た面影を持つ息子に対して、上田という存在に感化されていっているのではないか、と信頼が揺らいでいく。
     少年犯罪をテーマにした、いわゆる《社会派ミステリ》的な作品を想像しながら読み始めたのですが、途中で様相が明らかに変

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    (2019年2月9日)

商品内容

要旨

7年前、旭ヶ丘の中学校で起きた、クラスメイト9人の無差別毒殺事件。結婚を機にその地に越してきた私は、妻の連れ子である14歳の晴彦との距離をつかみかねていた。前の学校でひどいいじめに遭っていた晴彦は、毒殺事件の犯人・上田祐太郎と面影が似ているらしい。この夏、上田は社会に復帰し、ひそかに噂が流れる―世界の終わりを見せるために、ウエダサマが降臨した。やがて旭ヶ丘に相次ぐ、不審者情報、飼い犬の変死、学校への脅迫状。一方、晴彦は「友だちができたんだ」と笑う。信じたい。けれど、確かめるのが怖い。そして再び、「事件」は起きた…。

おすすめコメント

「きみたちは、世界の終わりを見たくはないか――?」  震撼の黙示録! ”神さま”になりたかった少年と、”父親”になろうとした男。 どこまでも深い絶望の涯てに広がる、終末の風景とは――。平穏な日常に潜む裂け目と虚無を描ききった、震撼の黙示録!

著者紹介

重松 清 (シゲマツ キヨシ)  
1963年岡山県生まれ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞、14年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞。話題作を次々に刊行する傍ら、ライターとしても活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)