チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学
出版社名 | 春秋社 |
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出版年月 | 2019年7月 |
ISBNコード |
978-4-393-33371-6
(4-393-33371-3) |
税込価格 | 2,200円 |
頁数・縦 | 273P 20cm |
書店レビュー
総合おすすめ度:
全1件
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おかしくて風通しがよくて未来を感じる傑作!
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おすすめ度
- Pebbles Books (東京都文京区)
本書は、香港で生きるタンザニア商人たちの痛快なずる賢さと、気負いのない愛他精神と「その日暮らし」の流儀を生き生きと描きます。
彼らは安宿のひしめく重慶大厦を根城に、SNSを駆使し中古車や携帯電話などを扱うブローカー。本書は彼らとそのボス、カラマの人間的魅力溢れるエピソードを織り合わせ、人間中心の経済、自由な社会の未来像を垣間見せてくれます。
「誰も信頼しないが、場合によっては誰でも信頼する」のが彼らのスタイル。一方で「私があなたを助ければ、だれかが私を助けてくれる」と、親切の連鎖をつないでいきます。彼らはuberやAirbnbといった最新のシェア経済にも似たビジネスを独自の流儀で展開します。
しかし人間の信用を格付けし効率を追求するウェブのシェア経済よりも、技術と経済をしたたかに利用して「いい加減」に生きる彼らのほうが、幸福な未来を感じさせる気がします。
コロナと共に生きるこれから、どう仕事をしていこう……と気が滅入るのですが、この本は一縷の希望となる気がします。(2020年2月3日)
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商品内容
文学賞情報 |
2020年
第51回
大宅壮一ノンフィクション賞受賞 |
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要旨 |
100%信頼できる人はいない。だからうまくいく。一攫千金を夢見て香港に集まるタンザニア人。彼らの日常は、まさか!の連続。既存の制度に期待しない人々によるセーフティネット、信用システム、シェア経済とは。可能性に満ちた社会がここにある。 |
目次 |
序章 「ボス」との出会い |
おすすめコメント
香港のタンザニア人ビジネスマンの生活は、日本の常識から見れば「まさか!」の連続。交易人、難民、裏稼業に勤しむ者も巻きこんだ互助組合、SNSによる独自のシェア経済…。既存の制度にみじんも期待しない人々が見出した、合理的で可能性に満ちた有り様とは。閉塞した日本の状況を打破するヒントに満ちた一冊。