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がん検診は、線虫のしごと 精度は9割「生物診断」が命を救う

光文社新書 1021

出版社名 光文社
出版年月 2019年8月
ISBNコード 978-4-334-04429-9
4-334-04429-8
税込価格 902円
頁数・縦 230P 18cm

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要旨

死に至る病の筆頭だった「がん」も、近年は早期発見・早期治療で「治る病」となってきている。その早期発見に関し、2015年3月に日本人研究者による画期的な研究論文が米科学誌に掲載され、話題になった。それは「線虫が、非常に高い精度でがん患者の尿の匂いを嗅ぎ当てる」という驚きの発見だった。本書では、体長1ミリの線虫が早期がんを検知することを発見し、起業して世界初の線虫がん検査「N-NOSE(エヌ・ノーズ)」の2020年実用化を目指す著者が、同検査ががん患者の命を救い、「生物診断」により医学界が格段の進歩を遂げる可能性を綴る。優れた嗅覚を有する線虫は、1滴の尿だけでステージ0の段階からがんの匂いを嗅ぎ分ける。そのため、わずかな手間と低コストでがんの早期発見が可能になるだけでなく、手術中、手術後の経過を正確に把握できるようにもなるという。本書では、自身の歩みや発想の秘訣などを語りながら、次代の研究者へのメッセージも伝えている。著者は東京大学大学院博士課程で線虫の嗅覚に関する研究を始め、九州大学大学院理学研究院助教時代の2015年に線虫ががんを検知する論文を米科学誌に発表。2016年に株式会社HIROTSUバイオサイエンスを起業し、代表取締役を務める。
※要旨の情報〔社会情勢、著者経歴など〕は、作成日当時のものです。
以降内容が変わっている場合があります。[要旨作成日:2019年10月1日]

商品内容

要旨

二〇一五年三月、「線虫が、非常に高い精度でがん患者の尿の匂いを嗅ぎ当てる」という論文が米科学誌に掲載され、報道番組でもトップニュースとして報じられた。九州大学の研究者だった著者は、その後起業し、実用化に向けた研究を重ね、医学界への普及活動に邁進してきた。たった尿一滴で、ステージ0の段階からがんが検知されることで、がん治療はどう変わるのか。なぜ、線虫だったのか。検査に機械ではなく生物を用いる「生物診断」の可能性は?各種メディアで注目の研究者・経営者が、自身の歩みや、誰も思いつかなかった研究を生み出した発想法、研究者を目指す若者への提言などを交えつつ、二〇二〇年の線虫がん検査「N‐NOSE(エヌ・ノーズ)」実用化で大きく変わるがん検診とがん治療の今後の展望を伝える。

目次

第1章 「がん検査」と「がん治療」が大きく変わる(線虫がん検査「N‐NOSE」で、何が変わるのか?
「N‐NOSE」が占める位置と、果たす役割)
第2章 なぜ、線虫だったのか(そもそも線虫とはどのような生物か
どのように「N‐NOSE」は実現されたのか
まだ謎の多い「嗅覚」の仕組みとは)
第3章 「謎の学生」だった私が、「がんの匂い」に出会うまで(教科書に書かれていないことを見つける
就職して、研究への思いに気づく
犬にできるなら、線虫にもできるはずだ!)
第4章 研究から起業へ―N‐NOSE実用化のステップ(「研究者は経営に向かない」は本当か?
予想を上回った実用化への期待)
第5章 N‐NOSEが世界を変える(世界の中のN‐NOSE
大きな可能性を秘めた生物診断の世界)

著者紹介

広津 崇亮 (ヒロツ タカアキ)  
1972年山口県生まれ。株式会社HIROTSUバイオサイエンス代表取締役。私立東大寺学園高校卒業。’97年東京大学大学院理学系研究科修士課程修了。同年サントリー株式会社に入社。翌年退社し、東京大学大学院博士課程に入学。線虫の嗅覚に関する研究を開始。2000年3月、線虫の匂いに対する嗜好性を解析した論文が英科学誌『ネイチャー』に掲載。’01年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。日本学術振興会特別研究員、京都大学大学院生命科学研究科研究員、九州大学大学院理学研究院助教などを経て、’16年より現職。’18年よりオーストラリアのクイーンズランド工科大学招聘准教授。井上研究奨励賞、中山賞奨励賞、ナイスステップな研究者(文部科学省)などの受賞歴がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)